ショットばかりじゃなく、もっとショートゲームを練習しよう

一つひとつの質問に笑顔で丁寧に答えるジャスティン・トーマス
ドライビングレンジに集まったジュニアたちの顔には、憧れのPGAツアーのスターの登場を前に緊張と興奮が入り混じっていた。拍手で迎えられて登場したJTは、リラックスした笑顔を見せながら「みんなに会えて嬉しいよ。楽しんでいってね」と語りかけた。
緊張気味のジュニアたちをほぐしたのは、最初に行われた質疑応答での可愛らしい質問だった。

可愛らしい質問からスタート!
「日本は好きですか? 食べ物は何が一番好きですか? ちなみに私はラーメンが好きです」というジュニアからの無邪気な問いかけに対し、JTは目を細めてこう答えた。
「日本は本当に大好きだよ。ゴルフコースも素晴らしいし、なにより食べ物が最高だね。特にステーキと寿司が大好物なんだ」。
このやり取りで会場は温かい笑いに包まれ、クリニックは和やかなムードで本格的なスタートを切った。世界トップレベルの技術と経験を持つJTに対し、ジュニアたちからは鋭い質問が次々と飛び出した。
Q:今の知識を持ったままジュニア時代の年齢に戻るとしたら、どんな練習に時間をかけて、もっと練習した方がいいと思う練習はありますか?

「ジャスティン・トーマス選手が、ジュニア時代に戻るとしたら……」
自身を見つめ直すようなこの質問に対し、JTは少し考え込むような仕草を見せた後、具体的なアドバイスを送った。
JT:すごくいい質問だね。僕なら、チッピング(アプローチ)とパッティング、つまりショートゲームに一番時間を割くかな。ゴルフゲームにおいては、ショートゲームこそがスコアに直結するもの。子どもの頃は、どうしても練習場でたくさんボールを打つことに時間を使ってしまいがちだよね。でも、もっとショートゲームに集中するべきだと思う。友達と一緒にチッピングやパッティングの競争をして、想像力を働かせながらとにかく楽しんでプレーすることが大切だね。
調子が悪い時こそしっかり「コースマネジメント」
続いて、ゴルフにおける精神面に踏み込んだ質問が飛ぶ。
Q:調子が良くない状態で試合を迎える時、どのようなマインドで試合に入りますか?
これにはJTも思わず唸り、自らの経験に基づくトッププレーヤーならではの金言を授けた。
JT:それはゴルフの中でも非常に難しくて、タフな状況だね……。うーんそうだな、調子が悪い時は、まずその時に自分が持っているものをそのまま受け入れるしかない。そういう日こそ、メンタルをよりシャープに保つ必要がある。決してアグレッシブになりすぎず、スマートにプレーして、忍耐強くならなければいけない。調子が出ない時こそ、コースマネジメントに頼って、メンタル面でのミスや状況判断のエラーをなくすことが一番大事になってくるんだよ。
1球だけ使った本番さながらのパット練習がおすすめ
さらに、具体的な技術面に関する悩みも寄せられた。
Q:私は今パターの調子が良くないのですが、JT選手が必ずやるパターの練習やドリルを教えてください。

「ショートゲームは極めて重要なパートだ」
JT:パッティングにおいて一番重要なのは『スピード(距離感)』だと僕は考えている。だから、距離感を養うための練習をするのがいいよ。例えば、ただ一つのカップに向かって同じ距離ばかりを打つんじゃなくて、わざと遠いところ、中くらいの距離、短い距離と打ち分ける。あとは、何も考えずにポンポン打つんじゃなくて、ボールを1球だけ使って、本番のラウンドと同じようにラインを読み、通常のルーティンを行ってから打つこと。これがすごく大事だね。
いろんなクラブでいろんな高さのアプローチを打とう
グリーン周りの技術についても質問は続く。
Q:グリーン周りで一番練習するべきアプローチの打ち方は何ですか?
JT:とにかく『バリエーション』を持たせる練習だね。同じクラブで同じ打ち方ばかりするんじゃなくて、色々なクラブを使って、高い球、中間の高さ、低い球を打ち分ける練習をするといい。ここでも、友達と一緒にいろんな状況からどうやって寄せるか競争しながら練習してみてほしい。お互いを励まし合えるし、何より楽しいからおすすめだよ。
真剣な質疑応答の後は、いよいよJTによるデモンストレーションへと移った。ウェッジを手に取り、ウォーミングアップを始めると、その打音、弾道、ボールコントロールにジュニアたちからはさっそく感嘆の声が漏れる。興奮したジュニアの一人がたまらず「ドライバーを打って!」とリクエストすると、JTは「もうちょっと待ってね。もう33歳だから」と笑顔でたしなめ、徐々に番手を上げていく。

ドロー、フェード、高い球、低い球。世界の技を披露
そして、いよいよドライバーを握ったJTに対し、今度は「ドライバーでドローボールを打ってほしい!」というリクエストが飛んだ。JTは苦笑いを浮かべながら「(フェードヒッターだから)一番苦手なショットだよ」と言いながらも、いざアドレスに入ると一瞬にして真剣モードに。振り抜かれたドライバーから放たれたボールは、リクエスト通りに見事なドローを描いて空へと吸い込まれていった。これにはJT自身も満足げな表情を浮かべ、「生涯で一番いいドローが打てた」とジョーク交じりに語り、会場を大いに沸かせた。
その後も、風の下をくぐり抜けるような超低空ショットや「直ドラ」も惜しげなく披露。世界的トッププレーヤーの最高峰の技術を間近で体感したジュニアたちにとって、この日のクリニックは今後のゴルフ人生において大きな財産となったに違いない。

一生モノの思い出になったね!
最後は参加者全員での記念撮影、サイン会が行われ、JTの温かい人柄と圧倒的なスキルに魅了された特別な時間は、「ゴルフをとにかく楽しむ」という彼のメッセージをジュニアたちの心に残し、かけがえのない思い出となった。
撮影/田中宏幸

