安定したショット力の源は強靭な体力
国内女子ツアーでは2年ぶりの勝利を飾った岩井明愛選手。中継を見ていると、ドライバーの飛距離、スウィングの安定感、ラフからのアイアンショット、アプローチとすべての面でその精度に驚かされるばかりでした。4日間のドライビングディスタンスは274.333ヤード。2位のテレサ・ルー選手よりも約12ヤードも飛んでいました。フェアウェイキープ率こそ54.76%と高くはなかったものの、パーオン率は83.33%で全体の3位と、ラフからでもしっかりとグリーンに乗せていたことがわかります。
ラフからのショットや番手間の距離を打つ際には、クラブを短く持ってコンパクトに振り抜く姿が印象的でした。短く持つことでラフからでも芯を捉えやすくなりますし、ヘッドが走りすぎないことで距離のコントロールも精度が上がります。精度の高かったアイアンショットの秘訣ではないでしょうか。

アイアンを短く持って打つ岩井明愛
今季も米女子ツアーを転戦しながら国内女子ツアーにも参戦。国内女子ツアーへの出場は今大会で4試合目となりましたが、成績は6位タイ、2位タイ、7位タイ、優勝とトップ10を外していません。2月から12月まで1年を通して開催されるトーナメントを戦い抜くためにトレーニングは欠かせませんが、明愛選手らの海外組は移動距離の長さや時差ボケも大きな負担になります。そこで必要とされるのが強靭な肉体と体力です。
2年前のオフに岩井姉妹のタイ合宿に同行した際に見た岩井姉妹の1日を紹介します。午前中は朝食を取った後、トレーナー指導を受けながら体幹トレーニングやウェイトを使ったハードなトレーニングをこなします。明愛選手が行った懸垂の回数は15回。この男子顔負けの体力には驚かされました。その後昼食を挟んで、体はバキバキになりながらも18ホールのラウンドを2週間続けていました。トレーニングはツアー転戦しながらも欠かさず続けているとのこと。世界中を転戦するための体力の重要さを感じました。

2025年1月のタイ合宿での一コマ。当時でも懸垂は15回と男子並みの強靭な肉体を見せていた
体力向上に取り組み続けている成果は、スウィングの安定感と飛距離に表れているように感じました。打ち下ろしや打ち上げの多い東名CCでもフィニッシュでバランスを崩さなかったことが、余力を持って振っていた証です。
適度なフェースの開閉
明愛選手は適度にフェースを開閉するオーソドックスなスウィングです。ブレのない体の中心を基点にクラブヘッドがキレイに円を描いています。テークバックでは骨盤をあまり回さずに上体(胸郭)をしっかり回し、上半身と下半身が分離されながらトップに向かいます。

ヘッドが体の中心を基点にスムーズに円を描く(撮影/姉崎正)
トップでしっかりと間を取ってから、バックスウィングで作られた上半身と下半身の捻転差を保って切り返されています。左腕が左胸に重なり少し遅れて巻き戻されることで、クラブは自然とインサイドから来ています。地面を踏みしめる下半身とねじり戻す際に使われる腹斜筋、腕を暴れさせないための大胸筋の強さが見て取れます。
アドレスとインパクトでの左手の甲の向きが同じになっている点に、フェース面のコントロール性の高さが表れています。フォローでは左手の甲は地面を向きしっかりとフェース面は返っていますが、手の感覚を使って返しているのではなく、あくまでもインパクト後に自然と返ることが大切です。

下半身、体幹へと巻き戻されると左腕が左胸に重なりクラブはインサイドから下りて来る(撮影/姉崎正)
7月に行われた海外メジャー「アムンディ・エビアン選手権」で優勝まであと一歩に迫る惜敗や他の悔しい経験を乗り越えつかみ取った勝利となりました。次は11月開催の「TOTOジャパンクラシック」で妹・千怜選手とともに活躍する姿を楽しみにしています。
