
女子ツアー屈指の飛ばし屋、神谷そら(撮影/岡沢裕行)
今回取り上げるのは、女子ツアー屈指の飛距離を武器にする神谷そらプロ! 今季も【平均飛距離:252ヤード(3位)】、【イーグル数:6(4位)】と、そのダイナミックなプレーでメルセデス・ランキング上位に食い込んでいる。以前はドローボールの印象が強かった彼女だが、最近ではフェードボールをコーチのもと習得中とのこと。さらなる進化の途上にあるようだ。
今回完全再現した彼女のドライバーは、小ぶりで操作性の高い浅重心ヘッドのキャロウェイ「QUANTUM ♦♦♦(9度)」、シャフトにはグラファイトデザインの最新モデル「ツアーAD FI(6S)」という組み合わせ。今回もグリップのフィーリングまで本人仕様に合わせたスペシャルな1本を用意した。
試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用
「強烈なダウンブローと捻転差」を受け止める60g台Sフレックスの狙いとは?

(画像:「QUANTUM ♦♦♦(9度)」、シャフトは「ツアーAD FI(6S)」 ※プロはクラブを替える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打(グリップは同ブランドを用意)
ツアーモデルの低スピンヘッドに、パワーのある男性アマチュアが使用するような60g台のSフレックスのシャフトというハードな組み合わせ。圧倒的な飛距離を誇る彼女がこのセッティングを選んだ理由に、堀越プロと編集部が迫る。
試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属
編集部:神谷プロといえば、女子選手の中でもトップクラスに速い45〜46m/s前後というヘッドスピードから放たれる圧倒的な飛距離が持ち味です。そんな彼女のセッティングは『QUANTUM ♦♦♦(9度)』に『ツアーAD FI(6S)』という一般男性ゴルファー顔負けのセッティングですが、堀越プロ、この組み合わせの印象はいかがですか?

柔軟性を生かした深いトップが印象的(撮影/岡沢裕行)
堀越プロ:女子プロのセッティングとしては、正直かなりハードですね。紙やプロのダイナミックなスウィングにも応える、しっかり叩けるスペックですね。シャフトの『ツアーAD FI』は、全体がしなりつつ手元側がクッとしなるタイミングの取りやすさが特徴なんですが、今回の6Sは手にとってみると剛性感が高くて、頼りなさはまったく感じません(笑)。プロは微調整を行うため一概には言えませんが、今回試打するスペックのようにヘッド重量がわずかに軽いと、よりシャフトがしっかりしているように感じられますね。
編集部:神谷プロは深い捻転から生み出すトップが特徴的ですが、スウィングとギアの相性はいかがでしょうか?
堀越プロ:神谷選手はアッパーブローではなくややダウン~レベルブロー気味に力強く押し込んでいるように思います。現在はフェードに変更していると聞いたので、やや上から叩いても左へ引っかけず、かつスピン量を抑えるために低スピン設計の『QUANTUM ♦♦♦』と、当たり負けしない剛性感を持つ『FI 6S』を選んでいるような気がします。
実際に試打を開始!
一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出
●キャリー/219.7Y
●総飛距離/254.2Y
●ボール初速/62.1m/s
●打ち出し角/11.2度
●スピン量/2320rpm
堀越プロ:予想通り、打ち出し角は11度前後とややライナー系のフェード弾道が出ましたね。分厚いインパクトの感触とともにボールがすごい勢いで飛んでいきました。
編集部:ヘッドが軽いと言っていましたが、実際に打つとなるとどのように感じますか?
堀越プロ:ワッグルした際には硬く感じていたシャフトも、バックスウィングからインパクトにかけて全体が適度にしなり、最初に抱いた「硬さ」は感じませんでした。シャフト自体にしっかり重みがあるからか、暴れる心配もないですね。そしてヘッドをやや軽くしている場合はクラブバランスが変わり、スウィングスピードが上がりやすいというメリットもあります。タイミングの取り方にもよりますが、私はスパッと振り抜けるのでとても良いカスタムのように感じますね。
編集部:実際のデータはいかがでしょうか?
堀越プロ:ボール初速が62.1m/sと今までの女子プロスペックの試打の中でもダントツに速い数値ですね。打ち出し角11.2度、バックスピン量2320rpmとやや低めですが、そのぶん非常に強い弾道が手に入ります。トータル飛距離は254.2ヤードまで伸びています。
編集部:落下角の平均が29度となっていますが、若干低いのでしょうか…?
堀越プロ:そうですね。今回のスペックでは、最低でもヘッドスピードが44m/sくらいないと球が浮きにくくなりそうですが、元々弾道が高い方や、もっと低く抑えて安定性を高めたい方にマッチしそうです。カチャカチャでロフトも変えられるので、1度寝かすとより飛距離が伸びる可能性もありますね。
堀越プロの総評

今回の神谷そらプロの組み合わせは、まさに『振り抜きのスピード感×強弾道を生み出す剛性感』が見事にかみ合った、過去最高のボール初速を叩き出すセッティングでした。
浅重心で低スピン性能に優れた『QUANTUM ♦♦♦』のヘッド重量をわずかに軽めに設定して振り抜きのシャープさを高めつつ、手元から全体が素直にしなる『ツアーAD FI 6S』を合わせることで、上から力強く叩きにいっても左に行きにくく、スピンも増えすぎないので安心して振り切ることができます。初速62m/sオーバーという速いボールスピードを生み出しているのは、スピード感のある振り抜きと当たり負けしない強靭なクラブとの相乗効果ですね。
一方で、ロフト9度との組み合わせは打ち出しが低めのライナー系になりやすいため、このスペックのまま効率よく飛距離に変換するには、ある程度のスピード感や、元々球が高くスピン量が多いというスウィングの前提条件が必要になってきます。弾道を低く抑えて風に負けない強いラインを出したいゴルファーには、この上ない武器になると思います。
ただし、ドローヒッターの方はよりスピン量が減ってしまう可能性が高いので、ロフトを10.5度にしたり、シャフトのスペックを下げてロフトが増える調整をすることで打ち出しの高さと、適正な打ち出し角とバックスピンが確保されるはずです。神谷プロのような分厚いインパクトから放たれる圧倒的な高初速とビッグドライブを体感できると思いますので、ぜひ試してみてください!
次回の「女子プロドライバーほぼ完コピ試打」もお楽しみに!
協力/トラックマン、キャロウェイ、グラファイトデザイン、クレアゴルフフィールド

