
バンカー練習を行う佐久間朱莉と、伊澤秀憲コーチを発見!(撮影/有原裕晶)
●伊澤秀憲(いざわひでのり)/1991年6月生まれ。神奈川県出身。叔父・伊澤利光の父であり、祖父の利夫氏に2歳からゴルフの英才教育をうけながら、ジュニア時代は同世代の松山英樹、石川遼らとしのぎを削ってきた。YouTubeチャンネル「アンダーパーゴルフ倶楽部」にてショートゲームを中心とした動画を配信している。
課題克服へ!伊澤コーチ直伝のバンカー&アプローチ術

練習場所①フラットめなライ/「音、違くなーい⁉」と興奮した様子で、周囲の人に練習の成果を報告する佐久間の姿があった(撮影/有原裕晶)
この日、佐久間が行っていたバンカー練習を見守っていると、「左足下がりで」「フェースを開いて打つ」「54度でも出るようになる」といった会話をしながら、2箇所を往復していた。

練習場所②左足下がりのライ/自然と左足体重が身につく(撮影/有原裕晶)
「体がちゃんと使えるように、自然とそうなってくれる左足下がりのライと、フラットめなライを反復して練習していました。最近『バンカーの音が悪いな』と感じていたんです。特に先週はツーオンを狙ってバンカーに入れてもいいホールがあったのですが、その際『長い距離のバンカーショットがダメなんです』と相談したところ、『ボール位置が右すぎるから、左足体重で』というアドバイスをもらい、今回はプラスαの打ち方を教わっていたところです」
特に焦点を当てていたのは、今大会のキーとなる18番ホールの非常に難易度の高いバンカーへの対策だ。現在サンドセーブ率1位に立つ藤田かれんでさえも、「18番はさすがに避けたい。練習してみたが、ギリギリにつけると返ってきてしまう。ダボも普通に打ってしまうと思うから、右の奥のアプローチありきでプレーしたい」と警戒していた場所に、年間女王はどのように挑もうとしているのか?

フェースをかなり開いて打っていた佐久間。ポイントは左上の写真の形のようだ(撮影/有原裕晶)
「あそこはギリギリに落ちると、めちゃめちゃ壁なんです。練習していたら『ギリギリ出た』んですけど、『距離が飛ばなくて戻ってきて』しまった。『高さは出るけど飛ばないから難しい』と相談したら、『54度でも開ける打ち方』を教わりました。これなら高さを出せて距離も出せるはずです」
プロゴルファー・中村修氏が解説! 18Hの難しさ

18番の名物バンカーによるプレッシャーを解説!
富士通レディースの舞台となる18番は、数々のドラマを生んできた難関ホールだ。プロゴルファーの中村修氏は、その難しさを次のように解説する。
「この18番は距離が長いこともあり、飛ぶ選手でもティーショットはバンカー手前までです。右側にもバンカーがあるので、それを嫌がった結果、どうしても左のラフへ打ち込む選手がいます。ここからグリーンを狙う場合に、グリーン左手前に待ち構える『絶対に入れたくない名物バンカー』が特にプレッシャーとなります。まぁまぁな打ち上げでグリーン周りはきれいに刈り込まれているため『ギリギリを狙わないと止まらない』と考えるのですが、届かなかった場合は、直角ともいえる壁のギリギリの場所へと転がり落ちてしまう。だから『刻むのか、行くのか』というタフな決断を迫られるわけです。過去にはここで優勝を逃した選手もいますし、横に出してボギー、ダボとなるケースもあるほどです」

難しさ① グリーン周りの刈り込み

難しさ② 直角にたたずむ壁
伊澤コーチの指導は的確な状況判断にも及ぶ。
「遊び心を入れながら教えてくださるのですが、試合では実用性のあるものばかりです。コーチのおかげで、ライの状況判断が上手になったかなと思います。クラブの仕組みを学べている感覚がありますね」
スピードにアジャストするパッティングの感覚調整

練習を終えた佐久間の表情には、どこか清々しさが感じられた(撮影/有原裕晶)
バンカー練習で確かな感触を得た後、彼女が次に取り組んでいたのは、パッティングの感覚調整だ。
「2メートルの距離を5球連続で入れた後、3メートルを3球連続で入れる練習を毎週のルーティンにしています」と語り、基礎固めを怠らない。
さらに今週はグリーンのスピードが速いことを見越し、入念な距離感調整も行った。
「最近、ロングパットは10歩などと距離を決めるのではなく、適当な距離にボールを置いて色々なカップを狙って打ちながら、感覚を合わせています。『お先』と言えるような距離ではあえてワンクラブ下げて、微妙な距離を打つ練習を行っています」
昨年の年間女王としての実力に、伊澤コーチ直伝のバンカーショットと状況判断力、研ぎ澄まされたパッティング感覚が加わればまさに鬼に金棒。万全の準備で挑む今週の「富士通レディース」は今季から4日間競技となり、獲得できるポイントは通常の1.5倍だ。メルセデス・ランキングで首位争いをしてきた桑木志帆との差は、約900pts。進化した佐久間朱莉がどのようなプレーで魅了し、追い上げるのか、期待が高まるばかりだ。
