ゴルフ大国、米国ではゴルフコースを単なる競技施設でなく、自然や科学を体験的に学べる場として使う活動を始めて久しい。
画像: 全米ゴルフコース管理者協会(GCSAA)のHPより

全米ゴルフコース管理者協会(GCSAA)のHPより

GCSAA(全米ゴルフコース管理者協会)は、米国を拠点にゴルフ場のコース管理・維持に携わるスーパーインテンデント(日本でいうグリーンキーパーだが、米国では経営面の管理業務にも携わる)や、管理者を会員とした専門職の組織で1926年に設立された。会員のスキルアップや教育プログラムの提供、芝生の管理、水資源や環境保護など持続可能なゴルフ場経営に欠かせない最新の科学的知見を提供することなどを目的としている。厳格な資格制度を実施していることでも知られる。

そのGCSAAが1997年から始めているのが、STEAM教育プログラム「ファースト・グリーン」だ。ゴルフ場と近隣教育機関を直結させる独自の環境啓発カリキュラムで、主に幼稚園年長から高校までの児童・生徒を対象に、土壌科学では土の性質や芝が育つ条件などを観察する。水環境では節水、水質管理、また野生動物の生息地や生物多様性を調べる。数学と工学では面積、散水量、設計、機械の仕組みなどを知る。芸術的側面ではコース設計や写真撮影などの知見を得る。また芝草管理、農学、環境科学、造園などの仕事を知ることによって、ゴルフ産業におけるキャリア教育の場としても機能させている。特に大切なのは、環境問題を単に知識だけで終わらせず、実際の土・水・植物・設備に触れながら学ばせること。ゴルフコースを「生きた実験室」として位置づけている。例えば水の学習なら散水設備を見るだけでなく、芝を健全に保ちながら水を無駄にしない方法を考えさせる。自然保全と施設運営を両立させる視点まで考慮させるので、現実の仕事や地域の課題にまで踏み込むことができるというわけだ。

同プログラムがこれまでに受け入れた生徒数は約3万人に達する。学校側には無償で提供され、交通費などの諸経費を補助する助成金制度も完備。

そしてこのほどGCSAAは同プログラムが全米50州すべてで開催されたと発表した。9月にニューメキシコ州のデザートレークスGCで行われた同プログラムをもって、全米展開という目標に到達したわけだ。

日本では各ゴルフ場がイベント的に「環境学習」は催しているが、組織だった活動ではないし、全国規模で行っているわけでもない。ゴルフ場が持続可能な発展を遂げていくには必須なことだと思えるのだが……。

※週刊ゴルフダイジェスト2026年10月27日号「バック9」より


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