「自分が優勝しちゃったのかな」 19年ぶりの栄冠と勝負勘
松村にとって、実に19年ぶりとなる歓喜の瞬間だった。「19年前の優勝は、すごい興奮して、『自分が優勝しちゃったのかな』って、現実味がなかったんですけど、19年ぶりに優勝できたんだって、ふつふつと実感が湧いてきています」と、静かに喜びを噛み締めた。
勝負の分かれ目は終盤に訪れた。15番のグリーン横でリーダーボードを見た際、「もう少しバーディを積み重ねないと優勝には届かないなと思って、またギアを入れ直したんです」と猛チャージ。最終18番では「あれ、意外と上が伸び悩んでるな」と状況を冷静に分析し、残り54ヤードの3打目をサンドウェッジでピンそば1メートルにピタリと寄せ、見事に優勝を決めるバーディパットを沈めた。
この日は4ホールほど嫌らしいパーパットを残す場面もあったが、そこをうまくカバーできたことが優勝を引き寄せる要因となった。実際に今大会における松村のスタッツを見ると、平均パット数は1.7073(全体13位)、パーキープ率は90.741%(全体3位)を記録しており、ピンチを凌ぐ堅実なプレーが光っていたことがわかる。

松村道央(写真/大会提供)
シード喪失からの苦悩と、ベテランならではの「我慢と忍耐」
復活優勝までの道のりは決して平坦ではなかった。シードを落とした直後の1、2年は「調子も全然戻らないし、体もちょっと痛いし、もう試合では無理なのかなと思った時期もある」と引退がよぎったこともあったという。しかし、同世代の岩田寛らの活躍に刺激を受け、一からコツコツとトレーニングやストレッチなどの体づくりを見直した。
「ショットを1時間やっちゃうと張りが出るから、パターは30分までとか、そういうメリハリをしっかり」と、年齢に合わせた体のコントロール術を身につけ、朝は練習場に行かないという独自の調整スタイルを確立した。悪天候のなかでも崩れなかったのは、長年のツアー生活で培った「我慢と忍耐」があったからこそだ。
「もう1勝したい」 若手の思いも背負う次なる挑戦
今回の優勝により、来季前半戦の出場権が見えてきた松村。「また今、このチャレンジでやっている準備を、そのままツアーでも同じことをやって、それでぶつかっていきたい」と、レギュラーツアーへの意欲を燃やす。
「まずスタートの舞台に立てる。そこに立てなかった選手が、こっちの若手にもいっぱいいて、悔しい思いをする選手がいると思うので、その分もチャレンジの代表として頑張っていきたい」と、後進の思いも背負いながら「やっぱりもう1勝したいですね」と力強く語った。

19年ぶりの優勝を制した松村道央(写真/大会提供)
ベテランの執念と経験が実を結んだ今大会。松村道央の新たな挑戦は、ここからまた始まっていく。
