今年、千葉を襲った豪雨も記憶に新しいが、今回も雨、雨、雨……この影響で1日目の競技が成立せず、2日目だけの結果を採用する18ホール競技となった。

自身がモデルとなったポスターの前で少し照れたようすの宮本晃輔さん。初日のブリヂストンスポーツ主催の試打イベントでも真剣にアドバイスを受けていた。向上心が結果を導く!
この大会のために日本中から集まった精鋭たちのアツい気持ちに水を差す形となったが、本大会のポスターモデルとなった宮本晃輔さん(上肢障害)は、「僕がポスターになったので、怪しまれているんかなあ」と“雨男”探しに気を使いながらも、この日、「84」でのラウンド。
「昨日よりいいスコア(1日目は89)やったので嬉しいです。でも、雨やなかったら70台が出とったかな(笑)。また頑張ります」と前夜祭での選手宣誓の内容そのままに、最後まであきらめずに踏ん張り、新たに次への一歩を踏み出す。
また、“アスリート魂”に年齢もゴルフ経験も関係はない。70歳代の飛ばし屋・浅野芳夫さん(右下腿切断)、パラリンピアン・小須田潤太さん(右大腿切断)と山本篤さん(左大腿切断)の組は、ホールアウト後、道具を片付けながら、こんな会話をしていた。
「今日は本当にありがとうございました」(小須田・山本)
「やっぱり若い人にはかなわないなあ」(浅野)
「いえいえ、実践はできないけど、いろいろと学ばせていただきました」(小須田)
「あの安定のドライバーが素晴らしいですよ」(山本)
「いやいや、結局スコアですよ」(浅野)
互いへのリスペクトが自然に出るのだ。
さて、大会の結果をお知らせしよう。

グランプリの部トップ3。吉田隼人プロ(左)、サイモン・リープロ(中央)、ホ・ドヨンさん(右)。本大会を初優勝したサイモン。今回の日本ではラーメンやうどん、そばを堪能したそう。「日本の麺類はレベルが高いです」
グランプリの部の優勝は、現在障害者世界ゴルフランキング(WR4GD)2位のプロゴルファー、サイモン・リー(韓国/自閉症)。今回も安定のゴルフでスコアは「70」。
「今日、コースに来る前に調整したので、ティーショットは距離も出てよかったですし、セカンドショットもよかったです。ただし、パッティングではいくつかチャンスを逃しました。雨の影響は、パットよりセカンドショットにありました。グリーンがソフトなので、スピンが計算通りかかりませんでした」
せっかくの機会なので、サイモンプロに雨ゴルフの対策を聞いた。
「グリップが濡れてすべるので、少し強めに握るようにしています。また、手袋を何枚か持っていき、よく交換してカバーします」とのこと。
直近の目標を聞くと「今年の11月~12月でゴルフがパラリンピックに入るか決まる。もし入ったら優勝が目標です」とさすが世界のトップゴルファーらしい発言で締めた。
2位は、WR4GD・32位で日本選手トップの、こちらもプロゴルファー・吉田隼人が入る。「71」で回り、トップとは1打差で惜しくも本大会5回目の優勝はならず。
「とりこぼしが多かったです。グリーンの水でボールがよれることもあったり。でも、落ち着いたよいラウンドができました」
3位には韓国期待のホープ、18歳のホ・ドヨンさん(知的障害)が入り、今後に期待を抱かせた。

女子の部トップ2。高田寿美さん(左)と優勝したキム・スンヨンさん(右)。キムさんは70台のスコアでぶっちぎり!日本選手たちも女性ゴルファーが増えて、切磋琢磨できることを喜んでいた
女子の部の優勝は日本の試合に初参加のキム・スンヨンさん(韓国/知的障害)、2位がこちらも大会初参加の高田寿美さん(右下肢機能障害)、3位はハン・ヒュンジュンさん(韓国/下肢障害)となった。
惜しくも3位に1打差で4位に終わった中島早千香さん(左上肢障害)は、「前半が51で悪すぎたんですけど……」とまず悔しそうだったが、「後半は2つ連続バーディを取って39でした」と嬉しそうに、スコア画面の写真を見せてくれた。
今年、高校生となり、着実に実力アップしている早千香さん。近いうちにトロフィーを掲げる姿を見ることができるはずだ。

今年で31回となった本大会。雨で集合写真は室内撮影となったが、参加選手全員から、いい笑顔がこぼれていた
こうして選手たちはそれぞれの課題を胸に、帰路についたのだった。
写真/増田保雄
