ニュージーランドのテ・アライリンクス サウスコース(6842ヤード・パー71)で開幕した「第17回アジアパシフィックアマチュア選手権(AAC)」。海からの強風と硬く速いフェスキュー芝が選手たちを苦しめる極限のリンクスコンディションの中、初日のラウンドが終了した。リーダーボードの頂点に立ったのは、昨年大会の覇者フィファ・ラオパクディー(タイ)である。圧巻の8アンダー「63」を叩き出し、大会連覇に向けてロケットスタートを決めた。日本勢では佐藤快斗が3アンダー「68」をマークし、単独5位と堂々の好位置につけている。

松山英樹以来の偉業へ――ラオパクディーが「63」で圧倒

画像: 松山英樹以来の連覇に挑むタイのフィファ・ラオパクディー

松山英樹以来の連覇に挑むタイのフィファ・ラオパクディー

昨年ドバイで戴冠し、マスターズや全英オープンを経験したラオパクディーが、開幕初日からその強さを見せつけた。彼が今大会で狙うのは、AACの16年の歴史の中で2010年・2011年の松山英樹しか成し遂げていない「史上2人目の大会連覇」という歴史的快挙だ。本人も会見で、松山に続く連覇達成が最大のモチベーションであると公言している。

「強風の中でタフなラウンドになることは分かっていた。ボギーを打たないよう我慢のゴルフを意識した」と振り返るラオパクディー。その言葉通り、15番(411ヤード・パー4)では左奥からの追い風の中、150ヤードからピッチングウェッジで放った第2打が直接カップに吸い込まれる圧巻の「ショットインイーグル」を奪取した。さらに最終18番(パー5)でも、左から右に3カップ切れる下りのシビアなスライスラインをねじ込んでパーを死守。「今週のモメンタムを決める今日一番のパットだった」と振り返る勝負強さを見せ、ボギーフリーの8アンダー「63」を叩き出した。

王者の強さを支えるのは徹底したメンタルトレーニングだ。朝晩欠かさず読み込んでいるのは『The Inner Game of Golf(日本語訳:新インナーゴルフ)』と、ボブ・ロテッラ著『Golf is Not a Game of Perfect(日本語訳:私が変わればゴルフが変わる)』。ノートに要点を書き出し、心の中の「エゴ」を静めるルーティンを毎朝実践している。「連覇という難しい課題を存分に楽しみたい」と語る姿には、絶対王者の風格が漂う。

日本勢最上位は佐藤快斗! 2023年メルボルンの記憶を重ねる「68」

日本勢で初日に素晴らしいプレーを見せたのが、3度目のAAC参戦となる佐藤快斗(東北福祉大3年)だ。

画像: 5打差の5位につけている佐藤快斗は松山英樹の後輩・東北福祉大3年生だ

5打差の5位につけている佐藤快斗は松山英樹の後輩・東北福祉大3年生だ

「初出場の頃は経験を得ることが目的だったが、今回は結果を求めたい」と強い覚悟で臨んだ佐藤。出だしの1番でボギーを叩くも崩れず、2番、4番でバーディを奪い返した。風が強まった後半インコースでも「34(2アンダー)」と卓越した安定感を発揮。11番、14番でスコアを伸ばすと、難関の16番、そして太平洋を望む17番(パー3)で圧巻の連続バーディを奪い、6バーディ・3ボギーの3アンダー「68」をマークした。

好スコアを支えたのは徹底したメンタルコントロールと緻密なターゲット意識だ。「昨日からずっとボールの落とし場所を意識し、打つ前に落とす位置をちゃんと決めてから打ったのが良かった」と佐藤は振り返る。最終ホール以外はティーショットもミスなく完璧で、セカンドショットを次々とピンに絡めた。「風が強くて集中力を保つのが本当に大変だったが、最後までしっかりやろうと集中した」と語る通り、2023年オーストラリア(ロイヤルメルボルン)の記憶を重ねつつ、首位と5打差の単独5位と絶好の位置につけた。

その他の日本勢も堅実な戦いを見せている。

● 本大志(アリゾナ大2年):1アンダー「70」で11位タイ。3番アイアンとローバウンスウェッジを仕込んだ低弾道戦略が功を奏し、アンダーパーでまとめました。
● 片野貫一朗:1アンダー「70」で11位タイ。ニュージーランド在住3年の意地を見せ、コースの知見を生かした手堅いプレーを展開。
● 矢田賢司(14歳):イーブンパー「71」で18位タイ。初出場ながら落ち着いたプレーで耐え抜きました。

長﨑大星は40位タイと出遅れるも、最終18番バーディで希望を繋ぐ

画像: 調子は悪くないと試合前に話していた長﨑大星だが……

調子は悪くないと試合前に話していた長﨑大星だが……

一方、昨年ドバイ大会でプレーオフの末に2位となり、今大会での雪辱を期す長﨑大星(勇志国際高2年)は、出入り激しい一日となり苦しい滑り出しとなった。

スウィング改造でロングアイアンの飛距離と高さを磨き、満を持して乗り込んだ長﨑だったが、初日は強風と硬いグリーンに苦しめられた。10番からスタートした前半は、11番、12番、15番でボギーが先行する苦しい展開。それでも前半最後の18番(パー5)で待望の初バーディを奪い、2オーバーで後半へ折り返した。

後半のアウトコースに入ると、激しいスコアの波が押し寄せる。3番のボギー直後に4番でバーディを奪い返すと、5番で再びボギー。しかし、難関の6番、そして7番(パー5)で気迫の連続バーディを奪い、一時は1オーバーまでスコアを戻した。ところが、上がりの8番、9番で痛恨の連続ボギーを叩き、最終的に4バーディ・7ボギーの3オーバー「74」(40位タイ)で初日を終えた。

昨年ドバイで極限の死闘を経験している17歳だけに、2日目の爆発的な巻き返しへ期待がかかる。なお、兄・煌心(東北福祉大1年)は7オーバー「78」で66位タイと出遅れている。

地元ニュージーランド勢が上位席巻! クーパー・ムーアの怒涛のイーグル

初開催となった地元ニュージーランド勢も、地の利を生かした猛威を振るっている。

単独2位にはジョシュア・バイが5アンダー「66」で浮上。米国の大学ゴルフから月曜日に現地入りしたばかりだが、幼少期からこの風の中で育った引き出しを武器に、海風を巧みに手なずけた。

画像: 前半の7番、8番、9番の3ホールだけで4つもスコアを伸ばしたクーパー・ムーア

前半の7番、8番、9番の3ホールだけで4つもスコアを伸ばしたクーパー・ムーア

さらに3位タイ(4アンダー「67」)には、18歳のクーパー・ムーアが名を連ねた。16番、17番の連続バーディに続き、最終18番(パー5)ではビッグドライブからセカンドショットをピンそば3フィート(約90cm)につける圧巻のイーグル奪取。3ホールで一気に4ストローク伸ばし、ギャラリーを沸かせた。同スコアで並ぶライアン・シー、2アンダー「69」の6位タイにつけるユウキ・ミヤを含め、トップ6の中に地元NZ勢が4人ひしめく圧巻の展開だ。

【初日 主な順位】

● 1位(8アンダー): フィファ・ラオパクディー(タイ)
● 2位(5アンダー): ジョシュア・バイ(ニュージーランド)
● 3位タイ(4アンダー): クーパー・ムーア(ニュージーランド)、ライアン・シー(ニュージーランド)
● 5位(3アンダー): 佐藤快斗(日本)
● 11位タイ(1アンダー): 本大志(日本)、片野貫一朗(日本)、ハリー・タキス(オーストラリア)
● 18位タイ(イーブン): 矢田賢司(日本)
● 40位タイ(3オーバー): 長﨑大星(日本)
● 66位タイ(7オーバー): 長﨑煌心(日本)
● 73位タイ(8オーバー): 隅内雅人(日本)

明日2日目は予選通過カットラインを巡る緊張感あふれる攻防が繰り広げらる。風がさらに強まると予想される中、日本勢がどこまでスコアを伸ばせるか注目だ。

写真/大会提供

【動画】風、景観、これぞリンクス! アジアパシフィックアマ初日ハイライト【APAC公式YouTube】

画像: First Round Highlights | 2026 Asia-Pacific Amateur Championship www.youtube.com

First Round Highlights | 2026 Asia-Pacific Amateur Championship

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