「悔いはない」――過酷な優勝争いの中で見せた清々しさ

優勝には一打届かなかったが、完全復活を予感させる活躍を見せた小祝さくら
首位を追いかける展開となった最終日。中盤以降は「ショットのミスも多くて、実力が足りなかっただけ」と振り返る通り、思うようにスコアを伸ばしきれない我慢の時間帯が続いた。
それでも、ホールアウトした小祝の表情に悲壮感はない。
「とにかく悔しい気持ちしかないですけど、最後まで全力でプレーできたので悔いはないかなと思います」
結果に対する無念さを率直に認めつつも、プロとして全力を出し切った清々しいメンタリティがそこにあった。
3日間連続で18番バーディー――佐久間を追い詰めた執念の一打
その「悔いなき戦い」を象徴するのが、最終18番(パー5)のマネジメントだ。
追いつくためにはバーディが絶対条件の最終ホール。しかし、小祝は状況を極めて冷静に見極めていた。
「本当は2オンを狙ってグリーン周りからチャンスを作りたかったですが、アゲンストだったので3打目勝負に切り替えました」
風を的確に計算し、無謀なギャンブルを避けて確実なルートを選択。そして迎えたグリーン上、ピン左約3.5メートルのバーディーパットが残った。
「本当に微妙なラインだったのでキャディさんとも迷いましたが、決め打ちで打とうと決めました」
迷いを断ち切って放たれたボールは、見事にカップへと吸い込まれた。
「それが結果的に入ってくれてすごく嬉しかったです」

見事なマネジメントで最終18番をバーディで締めた
初日、2日目に続き、3日間すべて18番で奪った意地のバーディ。先にパットをねじ込んで通算14アンダーとし、土壇場で首位の佐久間に並びかけた。後ろで見ていた佐久間が「シンプルにさすがだな、上手だなと思った。絶対に入れ返して優勝を決めるんだと集中した」と振り返った通り、夫婦同日Vの夢を背負い、大会覇者を最後の1打まで極限に追い詰めた執念の一撃だった。
自立したトッププロとして――それぞれの18番で放った輝き
「夫婦同日優勝」の快挙こそ持ち越されたものの、遠く離れた愛知と埼玉の地で、同じ日の最終18番でそれぞれが風と傾斜を読み切り、自らを信じて劇的なバーディパットを沈めてみせた。
「ここからさらに優勝を目指して戦える状態に持っていけるよう頑張りたいです」
小祝さくらはすでに前を向いている。互いに自立したトッププロとして、それぞれの戦場で重圧と真っ向から向き合う2人の姿は、感情論を抜きにしたプロゴルファーとしての確かな強さと誇りに満ちている。
写真/有原裕晶

