マスターズへの切符を懸けた「アジアパシフィックアマチュア選手権」が閉幕した。ニュージーランドのテ・アライリンクス サウスコース(6842ヤード・パー71)という世界基準の舞台で、日本勢トップとなる通算3オーバーの単独9位に入ったのは佐藤快斗だった。また、長﨑大星は最終日に日本勢で唯一アンダーパーとなる「70」をマークし、通算9オーバーの23位タイで4日間の戦いを終えた。海外特有の本格リンクスに対し、日本のトップアマたちはどう苦戦し、どう立ち向かったのか。「風」や「不運」で片付けるのではなく、選手自身の口から語られた「マネジメントの甘さ」と「先入観」に焦点を当てると、シビアな現実と確かな成長の糧が浮かび上がってくる。

「1ヤードのズレ」に泣いた佐藤快斗――意地を見せた18番バーディ

画像: 今大会、日本人最上位でフィニッシュした佐藤快斗

今大会、日本人最上位でフィニッシュした佐藤快斗

首位と4打差から逆転戴冠を狙って出た佐藤だったが、最終日は1バーディ・7ボギーの「77」とスコアを落とし、苦闘を強いられた。

ラウンド後、佐藤はその要因を客観的に振り返った。

「悪いショットを打っている感覚はなかったのですが、ちょっとした1ヤード、2ヤードの違いがボギーに繋がることが多くて、苦しい一日でした」

ナイスショットが必ずしも好結果に直結しないのがリンクスの怖さだ。落とし所がわずか1〜2ヤードずれただけで、マウンドの傾斜に蹴られて致命的なバンカーや深いブッシュへと吸い込まれていく。世界基準のコースが求める極限の精度を、佐藤は身をもって味わうこととなった。

しかし、最後に意地を見せた。7つのボギーを叩いて迎えた最終18番(パー5)。「最後は何とか入ってくれという気持ちで打った」というパットをねじ込み、この日唯一のバーディを奪取。苦しみ抜いた一日の最後に執念を見せ、日本勢最上位となる単独9位に踏みとどまった。

先入観を捨ててギアを調整――長﨑大星の修正力と「70」

画像: 最終日に日本勢で唯一のアンダーパーを記録した長﨑大星

最終日に日本勢で唯一のアンダーパーを記録した長﨑大星

一方、最終日に意地のアンダーパーを叩き出した長﨑大星のラウンドからは、先入観からの脱却とクレバーな修正力が光った。

長﨑は開幕前、「リンクス=重いグリーン」という固定観念を抱いていたという。しかし、実際のテ・アライリンクスは乾燥しており、グリーンは非常に速かった。それに気づいた長﨑は最終日、「ウェイトを軽くして速いグリーンに適応できるようパターを調節した」と、道具面から即座にアジャストを施した。

コースマネジメントも大幅に見直した。

「自分のゴルフを振り返ると、ピンまで100メートル以内からセカンドを打てたのが11ホールあり、それ以外のホールで落とす展開が多かった。今日は落としやすいホールで確実にパーを拾えるポジションへ置くマネジメントができました」

データ傾向を冷静に分析し、危険なホールでは無理をせず安全なエリアへ運ぶ。この徹底したリスク管理が、日本勢唯一の「70」というスコアに結びついた。

突きつけられた適応の壁――次なるリンクス豪州オープンへ

世界への扉を開くためには、あらゆる環境への「適応力」が欠かせないことを2人は痛感している。

長﨑は「国や地域でコースも風も全然違う。そこに適応するのがまず遅かったのが敗因」と冷静に振り返る。しかし、この経験はすぐに生かされる。今後の予定として、再来週の国内男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」、そして12月上旬には同じリンクスが舞台となる「オーストラリアオープン」への参戦を明かしている。今回突きつけられた課題を、即座に次の実戦で試す機会が待っている。

佐藤もまた、「今後PGAツアーでプレーすることが目標。今回得た課題を修正して、次の大会へ繋げていきたい」と真っすぐに前を向く。

「1ヤードのズレ」を許さないリンクスの洗礼と、自らの適応の遅れを痛感した4日間。世界基準の舞台で手に入れた明確な課題と収穫を胸に、若きサムライたちはさらなる高みへ歩みを進める。

【第17回アジアパシフィックアマチュア選手権 日本人選手最終成績】

  • 9位(通算3オーバー):佐藤 快斗
  • 16位タイ(通算7オーバー):本 大志
  • 23位タイ(通算9オーバー):長﨑 大星
  • 23位タイ(通算9オーバー):片野 貫一朗
  • 38位タイ(通算14オーバー):矢田 賢司
  • 56位タイ(通算25オーバー):長﨑 煌心

写真/大会提供


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