カリフォルニア州カールスバッド。テーラーメイドの本社に隣接する広大なフィッティング施設「ザ・キングダム」での体験ルポも、いよいよ最終章。ドライバー&アイアン、フェアウェイウッドに続き、今回はスコアアップの鍵を握るウェッジとパターのフィッティングをお届けする。

▼日本のメディア初潜入!「ザ・キングダム」でのフィッティング動画 本編はこちら!

画像: テーラーメイド「The KINGDOM」でウェッジ&パターフィッティング体験!編集長のショートゲームの不安は解消されるのか⁉︎ #ウェッジ #パター #テーラーメイド www.youtube.com

テーラーメイド「The KINGDOM」でウェッジ&パターフィッティング体験!編集長のショートゲームの不安は解消されるのか⁉︎ #ウェッジ #パター #テーラーメイド

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筆者(みんなのゴルフダイジェスト編集長・菊地)は、正直アプローチが苦手。コースに出ればダフリやトップのミスに怯え、グリーン周りでスコアを崩すことが多い。そこそこ寄ったとしても、そのパットを決めきれない悩みもある。

最近はあきらめの境地に似たものがあるのだが、この「ザ・キングダム」のフィッティングで、長年の悩みを克服する糸口はつかめるのだろうか。期待と緊張を胸に、まずはウェッジのフィッティングエリアへと向かった。

ウェッジ編:最適グラインドと的確なアドバイスが恐怖心を消し去る

画像: マシュー・シモーネ(Matthew Simone) カスタムプロダクト ディレクター

マシュー・シモーネ(Matthew Simone)

カスタムプロダクト ディレクター

ウェッジフィッティングを担当してくれたのは、マシュー・シモーネ氏。完璧に整備された芝生の上で、まずはスタンダードなバウンスの「MG5 SB」(ロフト60度)を手渡された。

「何も意識せず、普段通りにピンを狙って打ってみてください」

数球打ってみるが、ミスもちらほら。ヘッドが手前に入り深くダフッたかと思えば、次はそれを嫌がってトップしてしまう。

マシュー氏は私のスウィングの傾向をじっと観察し、こう言った。

画像: 入射角等の傾向を観察するマシュー氏(撮影/田邉安啓)

入射角等の傾向を観察するマシュー氏(撮影/田邉安啓)

「深くダフることが多いようですので、もっとバウンスの大きいウェッジを試してみましょう。そして、そもそもですがもっとバウンスを使ってほしい。ソールで地面を叩くように打っても、突き刺さらずにスムーズに抜けてくれます。上からしっかり地面に打ち込んでみてください」

渡されたのは、バウンス角の大きい「MG5 SX」だった。言われた通りに上から打ち込んでみると、明確な変化が。ヘッドが地面に入った後、芝に深く潜ることなく、ソールが滑り抜けていったのだ。狙った方向へ飛び、スピンも利いている。

画像: 「MG5」のSXグラインドの抜けを実感する筆者(撮影/田邉安啓)

「MG5」のSXグラインドの抜けを実感する筆者(撮影/田邉安啓)

「ソール形状を変えるだけで、こんなにも抜け感が変わるのか」

続けて「MG5 HB」を試した後、マシュー氏は、新しい「Hi-Toe 5」を持ってきた。フェース全面にスコアラインが刻まれ、燻したような渋い色が特徴的なウェッジだ。

画像: テーラーメイドの最新ウェッジ「Hi-Toe 5」。多彩なロフトとグラインドが用意されている(撮影/田邉安啓)

テーラーメイドの最新ウェッジ「Hi-Toe 5」。多彩なロフトとグラインドが用意されている(撮影/田邉安啓)

打ってみると、強烈なスピンでボールがピタッ! と止まる。打感も気持ちいい。やや独特な形状ではあるが、数発打つとすぐに慣れてしまった。

候補が絞られたところで、グリーン周りのアプローチエリアへ移動した。

「先ほどよりもさらに実戦モードで試しましょう。プレッシャーをかけて、どれが一番良いパフォーマンスを発揮するか確かめます」とマシュー氏。

画像: 「実戦と同じように落としどころをしっかりイメージして打ってください」(マシュー氏)(撮影/田邉安啓)

「実戦と同じように落としどころをしっかりイメージして打ってください」(マシュー氏)(撮影/田邉安啓)

手前のピン、奥のピンなど、距離と方向を変えながら試打を行う。やはり実戦を想定すると緊張するが、「Hi-Toe 5」のATXグラインド(バウンス12度)を試したとき、最高の手応えを感じた。

フェースを少し開いて構え、しっかり打ち込んでも、芝に突き刺さらずにソールが滑る。出球は柔らかく、スピンが利いてしっかりと止まった。ATXは、ソールのリーディングエッジ側、トレーリングエッジ側(後方)を削ることで抜けが良く、その分センター部分のバウンスがしっかりと利くという構造だ。

画像: バンカーでも秀逸な性能を見せた「Hi-Toe 5」(撮影/田邉安啓)

バンカーでも秀逸な性能を見せた「Hi-Toe 5」(撮影/田邉安啓)

バンカーでのテストでも、この「Hi-Toe 5」のATXグラインドは抜群の威力を発揮。ここでマシュー氏からバンカーショットとソールの関係について解説があった。

「フェースを開いて構えてみてください。そうすることで、トレーリングエッジ側を使うことができます。そうすれば、ヘッドが砂に深く潜らずスムーズに抜けてくれます。逆にリーディングエッジ(刃)から入ると、どんどん潜ってしまいます」

このイメージを持って打つと、パン!という軽快なインパクト音とともにボールがふわりと飛び出していった。

画像: 筆者にとってのベストウェッジは「Hi-Toe 5」のATXグラインドに決定(撮影/田邉安啓)

筆者にとってのベストウェッジは「Hi-Toe 5」のATXグラインドに決定(撮影/田邉安啓)

抜けの良さ、スピン性能、そして何より結果の良さ。ウェッジの最適解は「Hi-Toe 5」のATXグラインド(ロフト60度)に決定した。道具がスウィングの弱点を補うことを、強く実感したフィッティングとなった。

パター編:最新鋭の計測機器が解明する「ストロークの真実」

画像: デュエイン・アンダーソン(Duane Anderson) キングダム マスターフィッター

デュエイン・アンダーソン(Duane Anderson)
キングダム マスターフィッター

アプローチでの劇的な変化を体感した後は、インドアのパッティングスタジオへと案内された。待っていたのは、マスターフィッターのデュエイン・アンダーソン氏。

スタジオに入ってまず目を引いたのは、壁に設置されたモニターと複数の特殊なカメラである。

画像: モーションキャプチャーとクインテック、2つの測定システムによってストロークが丸裸にされる(撮影/田邉安啓)

モーションキャプチャーとクインテック、2つの測定システムによってストロークが丸裸にされる(撮影/田邉安啓)

「ここには2つの測定システムがあります。1つは『ギアーズ』という3Dモーションキャプチャー。もう1つは『クインテック』という、インパクト時のロフト角などを正確に測定するシステムです」

ギアーズは、ビデオゲームの制作などで使われるモーションキャプチャー技術をゴルフに応用したもの。センサーをパターに装着してストロークすることで、フェース角などの変化を、微細に捉えて正確にデータ化する。感覚ではなく、客観的な数値でストロークを丸裸にするシステムだ。

まずは、普段使っているパターに近いモデル(長さ34インチ)を手に取り、5メートルほどの距離で数球ストロークしてみた。

画面には、ストロークの軌道やフェースの向きが、詳細に表示されている。数球打った後、デュエイン氏がこう問いかける。

「パットでミスする時、左に外れることが多いですか? それとも右?」

「う~ん……右ですかね」

デュエイン氏はうなずき、モニターを指差した。

画像: 右へのパットミスが多いことをデータから読み取るデュエイン氏(撮影/田邉安啓)

右へのパットミスが多いことをデータから読み取るデュエイン氏(撮影/田邉安啓)

「そうでしょう。データに出ています(笑)。フェースをやや閉じて構え、インパクトで逆にフェースが開く癖があります」

自分の感覚だけでなく、精密なデータとして「フェースが開いている」という事実を突きつけられると、非常に納得感があった。スクエアにインパクトしているつもりでも、実際にはズレが生じている。これが、勝負どころで右へ外す原因だったようだ。

「ストロークの癖がわかったので、それに合うパターを探しましょう」

デュエイン氏が棚から取り出してきたのは、人気のゼロトルクパター「Spider ZT」。インパクトに向かって自然にフェースが閉じやすい設計のモデルだ。「フェースが開いてしまう」という癖を、パター自体の構造で物理的に抑え込もうというアプローチだ。

画像: ゼロトルク系というカテゴリーを確固たるものにした「Spider ZT」(撮影/三木崇徳)

ゼロトルク系というカテゴリーを確固たるものにした「Spider ZT」(撮影/三木崇徳)

感触は悪くなかったが、データを見たデュエイン氏の判定は、「あなたには合っていないようですね」。流行りのゼロトルク系が合わないというのはやや残念ではあるが……。

続いて、最新の「Spider TOUR F TORCHED」を試打する。深いブロンズ仕上げが美しいモデルであり、「F」は今回からラインナップされた“キバ型”のタイプだ。

画像: 牙(Fang)のような形状が人気の「Spider TOUR F TORCHED」。ウェイトがフェース寄りに搭載され操作性に優れる(撮影/三木崇徳)

牙(Fang)のような形状が人気の「Spider TOUR F TORCHED」。ウェイトがフェース寄りに搭載され操作性に優れる(撮影/三木崇徳)

打ってみると、打感が驚くほど軟らかく心地よい。転がりもスムーズで次々カップインしていく。

これで決まりでは? と思ったが、4本目にデュエイン氏が取り出したのは「Spider TOUR」。さらに慣性モーメントが高く、カウンターバランスの長いグリップが挿してある。これを打って驚いた。ストローク中のヘッドやフェース面の安定感が凄い。もちろんスパイダーの武器であるボールを順回転させる能力の高さもクインテックによって証明された。

画像: ミスヒットへの寛容性が高い「Spider TOUR」(撮影/三木崇徳)

ミスヒットへの寛容性が高い「Spider TOUR」(撮影/三木崇徳)

「Spider TOUR Fも良かったですが、こっち(Spider TOUR)のほうがさらにデータの結果も良いですね」とデュエイン氏も太鼓判を押した。

パターフィッティングにおける学びは、想像以上に大きかった。

パッティングは感覚に頼る部分が大きいと思われがちだ。しかし、精密な測定機器を用いることで、自分の「感覚」と「現実の動き」のズレを明確に認識することができる。筆者の場合は「インパクトでフェースが開く」という事実だった。

画像: パターフィッティングの有効性を改めて実感(撮影/田邉安啓)

パターフィッティングの有効性を改めて実感(撮影/田邉安啓)

その事実を受け入れた上で、それを補うパターを選ぶ。Spiderシリーズのような高い寛容性を持つパターは、ゴルファーの目に見えない癖を相殺してくれる強力な武器になる。自分の弱点をデータで知り、最適ギアで補う。スコアに直結するパッティングこそ、この最先端のフィッティングの効果は絶大だと痛感した。

ギアが引き出す、プレーヤーの真のポテンシャル

ドライバー、アイアン、フェアウェイウッド、そしてウェッジとパター。テーラーメイド「ザ・キングダム」でのフルセットフィッティングは、驚きと発見の連続だった。

画像: 経験豊富なフィッター陣と最先端の機器、そして高性能なギアによって形成される「ザ・キングダム」でのフィッティング(撮影/田邉安啓)

経験豊富なフィッター陣と最先端の機器、そして高性能なギアによって形成される「ザ・キングダム」でのフィッティング(撮影/田邉安啓)

今回のショートゲーム編も、「自分のスウィングにクラブを合わせる」ことの重要性を強く感じた。

ダフリ癖のあるアプローチは、ハイバウンスと最適なグラインドを持つ「Hi-Toe 5」が抜けの良さを生み出してくれた。右に押し出すパッティングの癖は、モーションキャプチャーで原因を特定し、「Spider TOUR」の安定感がカバーしてくれた。

ゴルファーは、ミスが出ると自分の技術のせいにしがちだ。しかし、合わないギアを使っているために生じているミスも少なくない。確かなデータに基づき、熟練のフィッターとともに最適なギアを探し出す作業は、自分専用の特効薬を処方してもらうような体験であり、その先のプレーを大きく変えるきっかけになる。それは腕前やキャリアを問わず、どんなゴルファーも等しく感じられることだろう。

画像: 「ザ・キングダム」でのフルフィッティングを経て完成した筆者のクラブ。あとは自分の腕前を上げることに集中するだけだ

「ザ・キングダム」でのフルフィッティングを経て完成した筆者のクラブ。あとは自分の腕前を上げることに集中するだけだ

自分のミスの傾向を知り、それを補ってくれるギアを選ぶこと。自分にぴったりのギアを手に入れた今、弱点であったショートゲームが、逆に強みになる可能性すら感じている。今後のラウンドが楽しみでならない。

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画像: www.taylormadegolf.jp
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