DPワールドツアーのプレーオフ初戦「アブダビ・アルダール選手権」。公式会見に臨んだローリー・マキロイとパトリック・リードの2人が、「LIVゴルフ」およびそこに関わる選手たちについてそれぞれの見解を語った。

組織への厳しさと、ルールに従い戦う選手へのリスペクト

既存ツアーのエコシステムを重んじるマキロイの口調は、LIVの組織構造に対して厳しい。DPワールドツアーのガイ・キニングスCEOが「LIVはツアーを破壊しようとしていた」と語ったことについて問われると、マキロイは「完全に同意する」と明言。「選手やスポンサーを奪い、プロゴルフ界を『軍拡競争(arms race)』に変えてしまった」と非難した。

画像: かつてはLIVゴルフに参加した選手個人を攻撃したローリー・マキロイだが、そのトーンは収まっているように見える(写真は26年全米オープン)

かつてはLIVゴルフに参加した選手個人を攻撃したローリー・マキロイだが、そのトーンは収まっているように見える(写真は26年全米オープン)

しかし、「5〜10年後にLIVのレガシー(遺産)はどう評価されるか」と問われたマキロイの見解は、決して単純な全否定ではない。「後から振り返れば、非常に奇妙な時代だったと見るだろう」と前置きしつつ、LIVの出現が選手に強い発言権(レバレッジ)をもたらし、結果として選手全体の報酬を歴史的な水準へ引き上げたという現実の恩恵を客観的に認めている。

「プロゴルファーにとって今ほど恵まれた時代はない。ジャック・ニクラスら往年の名選手たちだって自分の時代にLIVがあれば大喜びで大金を稼いでいただろうし、実際に今の僕たちは全員その恩恵でより多くの報酬を得ている」

そう語る通り、選手が得た果実を正当に評価する一方で、マキロイが危惧するのはその持続可能性だ。選手側への過剰なレバレッジや「虚構の経済(false economy)」に頼るマネーゲームは短視示的であり、50年先もツアーを存続させるためには、持続可能なビジネスモデルへの「リセット」が不可欠だと強調した。

一方、自らの足でDPワールドツアーへ戻り、自力でPGAツアーカードを掴もうとする選手個人に対してはフェアな敬意を示す。予選ラウンドで同組となったパトリック・リードやエウヘニオ・チャカラについて「元LIV選手でありながらこのツアーに戻り、自らの力で出場権を勝ち取ろうとしている姿勢には大きなリスペクトがある」と語り、ルールに則って汗を流すプロとしての努力には惜しみない賛辞を送った。

ガルシアの復帰宣言と、マキロイが明かした「2019年の経験」

また、セルヒオ・ガルシアのDPワールドツアー復帰宣言に伴い関心を集める「ライダーカップのキャプテン資格」問題についても、マキロイは持論を展開した。

LIVへ移籍した選手たちが将来のキャプテンや副キャプテンになれないルールについて問われたマキロイは、自身が2019年にアメリカへ専念するため、DPワールドツアーのメンバー資格返上を本気で検討した過去を振り返る。当時、キース・ペリーCEOから「メンバーシップを放棄すれば、将来ライダーカップのキャプテンにはなれない」と告げられ、即座に思いとどまったという。

「みんなそのルールを知っている。自らの意思でメンバーシップを放棄すれば、その結果が自分に跳ね返ってくるのは当然のことだ」

マキロイが指摘するのは、これがLIVに対する特別な懲罰などではなく、「ツアーメンバーシップの保持」という前提条件に基づく既存ルールの適用に過ぎないという冷徹な現実だ。

実力主義を貫くパトリック・リードの視点

画像: 約1年前にLIVゴルフからの脱退を表明したパトリック・リード。27年のPGAツアー復帰を確実にしている(写真は26年全米オープン)

約1年前にLIVゴルフからの脱退を表明したパトリック・リード。27年のPGAツアー復帰を確実にしている(写真は26年全米オープン)

一方、パトリック・リードは、LIVゴルフからの脱退を表明したジョン・ラームのPGAツアー復帰問題について問われ、実力主義的な持論を展開した。

「(ラームを復帰させるかどうか)PGAツアーがどう判断するかは彼ら次第だ。しかし、出場資格を満たし、プレーする権利を得ている選手なら、どこででもプレーできるべきだと私は固く信じている」

「ラームと一緒にプレーするのはいつも楽しかった」と語るリード。政治的な対立やツアー間の感情論よりも、ゴルファーの実績や実力に応じた「プレーする権利」を尊重すべきだというスタンスだ。

コース上で交わるそれぞれのプロ意識

ツアーの秩序と長期的な持続可能性を守ろうとするマキロイ。そして、獲得した権利と実力主義を尊重するリード。

それぞれの立ち位置からゴルフ界の「いま」を見つめる2人。予選ラウンドで同じ組に入った2人は、互いのプレーに敬意を払いながら、アブダビのコースへと繰り出す。

写真/USGA提供


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