いま、世界のトップを争うプレーヤーたちは、いったいどんなクラブを使っているのか?気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。選手の実使用クラブを打つのは難しいですけど、「レプリカ」ならば、近いスペックで組み上げることができるんです。
トッププロと同じモデルのヘッドと、近似スペックのシャフトを組み合わせて「レプリカ」のドライバーを作成し、試打するという企画です。
タイトリスト・915D2 × アルディラ・ローグ ブラックLTD60 (TX)
2015年はマスターズと全米オープンのメジャー二冠を達成し、さらにフェデックスカップの年間王者も獲得、ゴルフ界にスピース時代の到来を予感させました。しかし2016年のマスターズ、トップでスタートしたサンデーバックナインで、ゴルフ史に残るまさかの失速を喫してしまい、そこからの復活が期待されます。
とはいえショットが不調ということではなく、パッティングに2015年ほどのキレが戻れば…というところ。ですので2015年と16年でクラブに大きな変化は見られず、UTをアイアン型に変更し、ウェッジをボーケイSM5からSM6に新調した程度です。
ヘッドは915D2
そんなスピースのドライバーは、タイトリスト915D2。おなじ915のD3と比べて寛容性に優れたモデルです。
PGAツアーの中では飛距離に優れるほうではありませんが、バーディを奪える場所にコントロールする技術は抜群。そんなスピースがチョイスしたのがこのD2です。
本誌でおなじみのクラブデザイナー、松尾好員氏によれば「ほどよいつかまりでドローを打ちたいスピースにはぴったりでしょう。左に曲がりすぎないクラブを好んで使っていると見えますね」とのことでした。
D2はネックの軸回り慣性モーメントが大きく、フェースがゆったり返る設計。投影面積の大きな形状と合わせて、球筋を操作するというよりはフェースの向きを変えずに打ち抜きやすくなっています。
シャフトはアルディラのローグ
スピースが使うのは、アルディラの「ローグ」というシャフト。2015年からPGAツアーを中心に人気を博しているモデルです。全体的にハリがあり、ハードヒッターが好むような特性を持っています。
シルバーとブラックがありますが、スピースはトルクの多いブラックリミテッドエディションの60グラム台をチョイス。フレックスは「TX」というのがツアープレーヤーらしいところでしょうか。
では、915D2にローグブラックリミテッドエディションを組み合わせてみました。シャフトのコスメは市販品とまったく同じですね。
スピースレプリカのスペックはこちら。まず何よりも、硬い、硬すぎる!
クラブ長さ 45インチ
クラブ重さ 317グラム
スウィングウェート D2
シャフトの振動数 288cpm
この振動数はハンパじゃないです。ラーメンで言えばバリカタ以上、「粉落とし」の領域でしょうか。さすがのローグブラック、TXです。
本人の使用クラブに関しての詳細スペックはわかりませんが、もう少し重いものと推測できます。ヘッドのウェートなどで調整していることでしょう。とにかく、(一般的な見地からは)硬いシャフトが好みだと思われます。
HS51m/s・谷口拓也プロが試打
「コントロール」重視です!
組み上がったレプリカを、PGAツアー選手並みのヘッド速度を誇る谷口拓也プロに打ってもらいました。
「シャフトは手元が硬い分しなる箇所が先よりになって、球が浮きやすいですね。ヘッドを走らせるというよりは切り返しでキックし、それシャフトがしなってくれるのでそこで終わりという感覚で振れます。今どきのシャフト、という感じがしました」
「インパクトでシャフトはきちんと”逆しなり”し、ヘッドが左ではなく上を向く感じがします。組み上がった数値よりもつかまりはいいと思いましたね」
「ヘッドは、スピン量をある程度与えてキャリーを伸ばすタイプに感じます。とはいえ、ただやさしいだけではなく、操ろうと思えば応えてくれるのはタイトリストらしいところです」
「全体的には、ドローを打ちやすいクラブだと思います。ボールは上がりやすいですが、そこはシャフトの性能でスピン量を減らしているのではないでしょうか。フェースターンの少ないスピースにとって、このシャフトのしなりを生かしても曲がりにくいと思います」
「スピースのヘッド速度で、無理せずつかまって、かつつかまりすぎることなく安定したドローを打っていけるスペックです。飛距離よりもコントロール性能を重視した組み合わせだと思いました」
なるほど、数値だけで見ると非常にハードなスペックですが、スピースが無理せずにドローを打てるような感じなのですね。アルディラローグ、ハードヒッターにはおすすめとのことですよ!
キャリー 287.5ヤード
ボール初速 75.0m/s
打ち出し角 14.9度
スピン量 2720rpm