ロングアイアンならロングアイアン、ショートアイアンならショートアイアンの性能を際立たせた別々のものを作って、その個性を組み合わせてみたらどうか。
キャリアのある人ならこの思想を受け入れてくれるだろうというのが「インテストの出発点」になった。
ゴルファーはよく冗談で、ティショットでは飛ぶツーピースボール、アプローチでは止まる糸巻きボールが使いたいと口にするが、これをクラブで実現させようというのが(ユーティリティのルーツ)通称タラコ「インテスト」の出発点。
いわばアマチュアに直結した発想である。
飛ぶアイアンを作ることは、さしたる問題ではない。ヘッドにカーボンを使い、ボールのスピン量を抑えてやればそれで済むことだ。これは様々な実験によってわかる。
しかし、飛ばすクラブとしてはいいかもしれないが、従来のリニア的な思考でショートアイアンまでカーボンで作ってしまうと、今度はグリーン上でボールが止まりにくいという結果を招いてしまう。
斉藤主管に言わせると「ロフト30度以下ではカーボンのメリットを発揮するが、それ以上だと悪い面が出る」ということなのだが、となれば、ロングアイアンはカーボンでいいとして、ショートアイアンでは別の素材を使うべきだという結論がここで導かれることになる。
「実はこれ、μ-240より開発の着手は早かった。4年がかりです」
ずいぶん時間がかかってしまった。それだけ製品化させるまで紆余曲折を経てきたということだろう。
ここでロングアイアン(LX)、ミドルアイアン(MX)、ショートアイアン(SX)の素材について紹介しておくと、ロングアイアンはステンレスフレームと特殊コアをカーボン素材で包んだ複合ヘッドに、標準より1インチ長い軽めのシャフトを装着。
ミドルアイアンはステンレスの中空構造をとったセミ・ラージヘッドに、標準よりも半インチ長いシャフトを装着。
そしてショートアイアンはステンレスヘッドに標準の長さで重めのシャフトを装着――。
これまでのリニア的考え方からすれば確かにまったく個別のセットから3種類選び出してきたような印象だ。
グーズの度合いも、ロングアイアンではボールをつかまりやすく、また構えたときに安心感を持たせるために、フェースプログレッション(以下FP)をプラスマイナス「ゼロ」にし、ミドルアイアンはプラス1ミリ、ショートアイアンはプラス2ミリにしている。
ただしこのようにバラバラに設計しているため、一部番手が重複してしまったのは止むを得ないところだろう。ロングアイアン(LX)は1番から5番まで、ミドルアイアン(MX)は4番から7番まで、そしてショートアイアン(SX)は8番からSWまでとなっている。
(1989年チョイスVo.46)
その①の記事はこちら↓↓
ユーティリティのルーツ 横浜ゴム「インテスト」開発の裏舞台①
その③の記事はこちら↓↓
ユーティリティのルーツ③横浜ゴム「インテスト」プロから届いた一通のFAX・・・「カーボンの1番を使わせてほしい」
その④の記事はこちら↓↓
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