(ある有名な)トーナメントプロから一通のファックスが送られてきた。『ロングアイアン(LX)の1番を使用したい』。昔ならオモチャとして見向きもされなかったようなクラブをベテランプロが使用してみたがる。時代は確実に変化してきた。
「従来の決まった素材、決まった製法では先に進まない時代になっている。それをユーザーも感じ始めた。自由度が増えたという意味で設計しやすくなったし、今後いろんな特性を持ったクラブ作りが可能になると思う」
東京・新橋の横浜ゴム。その9階に3人組が知恵を出し合う広い一室がある。
大きなテーブルを真ん中にドカンと据え、そのまわりに椅子が点々。テーブルの上は書類やメモ用紙の類で雑然としている。ここで3人組はめいめいにアイデアを持ち、出し合い、それが神奈川の平塚工場の開発スタッフ(技術担当)に伝えられ、お互いキャッチボールしながらアイデアが具現化していく。
面白いのは、一切会議を行わないのだそうである。
「会議を2回やるとアイデアは2分の1になり、4回やると4分の1になる。10回やれば
最初のアイデアの良さはほとんどゼロに等しくなってしまう」
宣伝の方法にしても宣伝会議といったものは行わない。それもこれも、横浜ゴムにとってゴルフ部門は新規事業ゆえ、誰もゴルフのキャリアを持っていないからなのだという。
一切合切が3人組に任されていた。
そういえば、インテスト開発に当っては斉藤主管の個人的事情も多分に関係しているらしい。自分のために開発したようなところが見られるのだ。
「200ヤードの距離をロングアイアンで楽に攻められる道具が欲しかった。アベレージゴルファーの僕がこれ以上ハンディアップを望むなら、それしかない。
200ヤードの恐怖心をなくしたかった」
(1989年チョイスVo.46)
その①の記事はこちら↓↓
ユーティリティのルーツ 横浜ゴム「インテスト」開発の裏舞台①
その②の記事はこちら↓↓
ユーティリティのルーツ 横浜ゴム「インテスト」② ロフト30度以下ならカーボンのメリットが生かせる・・・
その③の記事はこちら↓↓
ユーティリティのルーツ③横浜ゴム「インテスト」プロから届いた一通のFAX・・・「カーボンの1番を使わせてほしい」