月刊ゴルフダイジェストで好評連載中の「振り子の教室」。毎月、パットにまつわる疑問を“パット研究家”の星谷孝幸先生が科学的な目線で回答してくれています。
今回のテーマは“方向性”。ショートパットを外しがちな人は必見です。ではほしや先生、早速お願いします!
Q1
2メートル前後の距離を
もっと入れたい!
A1
カップを“細分化”して
狙ってみましょう
2メートルを沈めるためにはカップを漠然と狙ってはいけません。それこそ、「カップを1センチ単位で細分化する」狙い方がいいと思います。曲がるラインなら「カップの内側」ではなく「端から2センチ」という具合です。この狙いの良いところは、もちろん読みが緻密になってカップインの確率が上がることですが、加えて「目の錯覚」のような現象も起こるのです。
写真のように約1センチ刻みでティを立てたと想定し、そのひとつを狙っていくと、非常に集中力が高まります。するとその奥にあるカップが非常に大きく感じるのです。「エビングハウス錯視」という目の錯覚と同じような効果が期待できるのです。
Q2
方向性が良くなる
パターってありますか?
A2
“太い線”が描かれている
ものがオススメ
パッティングにおいては、フェース面の向きが方向性にダイレクトに結びつくので、いかにフェース面を目標に正確に向けられるかが、結果を大きく左右します。ヘッドの線が1本だと、ラインが描きにくく、錯覚による歪みも起こしやすい。一方で、ヘッドの線が複数描かれている、または太い帯のような線だと、ラインを“幅”で想定しやすく、錯覚も起こしにくいので、自信を持って構えられるようになるのです。
Q3
ヘッドを真っすぐ動かすために
良い方法はある?
A3
パターの“ライ角”を
プラス3度してみては
ヘッドが真っすぐ動くことが、方向性をよくする大きな要因であることは間違いありません。追々、そのストロークの方法はここでもご紹介したいと思いますが、手っ取り早い方法として、パターを調整することでストレートなストロークに近づけることもできます。
パターにもヘッドとシャフトが作る角度“ライ角度”がありますが、この標準は72度ぐらい。これを3度アップライトにして75度にすることで、約3センチボールに近づいて立つことができます。その分、パターヘッドはイントウインの動きが少なくなり、より縦振り子の動きに近づくので、ヘッドは真っすぐ動くようになります。
私の実験では、この3度のライ角調整によって、フェースの開閉が0.4度少なくなりました。これは計算上、3メートル先では2.1度のズレを生じます。この数字をどう見るかですが、必ずしもパットはカップの真ん中から入るわけではなく、左右の縁からコロンと入ることもある。そう考えると、決して小さな数字ではないと思うのです。
いかがでしたか? 方向性を良くするためにいろいろなヒントがあったと思います。では、また次回も“目からウロコ”の、ほしや先生のパットの授業をお楽しみに!