月刊ゴルフダイジェストで好評連載中の「振り子の教室」。毎月、パットにまつわる疑問を“パット研究家”の星谷孝幸先生が科学的な目線で回答してくれています。
今回のメインテーマは“ラインの読み方”。確かに、どう読めばいいのかよくわからないですよね。ただ、ほしや先生も、このテーマに関して“科学的”に結論を出すのは難しいと言います。
Q1
ラインの読み方がよくわかりません
A1
ラインを“創造”する
6つの基本を覚えましょう
私は科学者ですからラインの読み方を“理論化”しようとしますが、残念ながらラインを読むための明確な公式はありません。しかし、いくつかの基本を押さえておくことで、ライン読みの精度は大きく変わることも事実です。
ラインを読む、ということは、言い換えれば自分でラインを“創造”すること。ボール速度によって入るラインは無限です。その中で、どういうラインを創り、その通りに打てるかが“入る(寄る)”かどうかにかかってくるのです。
ラインを創造するには、以下の6つの基本が大事になります。
①傾斜の方向と角度を把握する
どっちに傾斜しているのか、どのくらいのキツさなのかを見ることです。カップ周りで3度の傾斜はかなりの急傾斜。多くはせいぜい2度以内の傾斜です。
②練習グリーンで8方向の曲がりをチェック
1~2メートルの距離を360度いろんな方向から打って曲がり方を見ておくことで、曲がる感覚がつかめてきます。
③仮想カップを決める
カップばかり見ていると、どうしてもカップに対して意識が強くなり、狙ったラインに乗りづらくなります。明確に仮想カップを描き、そこに向かって打つクセをつけましょう。
④転がる時間をイメージする
練習で実際に図る必要はありませんが、打っってから止まるまで、ボールの動きを思い描きましょう。どのラインを通すのがいいのかが見えてきます。
⑤打ち出しの速度をイメージする
カップまでどう転がるのか、上りなら打ち出しスピードが速くてもカップ間際でブレーキがかかりますし、下りなら打ち出しからトロトロと行きたい。そういう“スピード”と“時間”をイメージ方向性と距離感を作ります。
⑥打ち出し速度がどう減速するのかイメージ
転がる時間を意識するとともに、ボールがどう減速して止まるのかを意識すると、ボールの転がりが鮮明にビジュアライズされて、ラインに適したスピードで打ち出せるようになります。
Q2
狙ったラインに打ち出せません
A2
フォローで頭を上げずに
顔を上げましょう
ストロークをブラさないようにと「打った後も顔を下に向けたままの方がいい、と言われますし、実際にそうしている人もいます。聞くと「ヘッドアップすると軌道が乱れるから」とか「カップインは耳(音)で聞けと教わったから」という答えが返ってきます。
私はそういう人に、「ヘッドアップはダメだけれど、ルックアップは必要です」と伝えます。打った後もボールのあった位置を見ておこうと思っても、やはり結果が知りたくなって頭が“パッ”と上がってしまうもの。すると、ヘッドの軌道が歪み、押し出しも引っかけも起こります。
私は逆に打ったボールをしっかり目で追うようにしています。ただし、その時頭は上げず、顔を左に向けるようにして追うのです。これなら軌道は歪まないし、なによりボールがどう転がるのか、自分の読みに対してどのくらい切れたのか、という情報が蓄積されます。これが、ラインを読む力をつけるためにはとても大事なんです。
いかがでしたか? ライン読みの上達は経験による部分が大きいようですが、それでもいくつかのコツを押さえれば、上達が早まりそうですね。次回もほしや先生の「パットのお悩み相談室」をお楽しみに!