ブリヂストンゴルフは前作のTOUR B330シリーズから、コアに「水」を使用したハイドロコアなるものを採用した。この技術により「内柔外剛」を単層コアで実現することに成功した。コアの内側は柔らかく、外側が硬い。これにより、フルショット領域で低スピンと高初速の両立を実現した。ボールの進化の終着点「飛んで止まる」を達成したのだろうか。
GD TOUR B330(以下TOUR B)は2代目になって、なかなかの評判と聞きます。事実、私のゴルフ仲間の間でも、TOUR Bってやっぱりいいの? と聞かれます。
宮川 うれしいですね。構造としては単層コアで「内柔外剛」を達成できたことは、大きな進化だと思います。それにより、最外層に非常に軟らかいカバーを簡単に採用出来る様になりました。
GD 基本的なところを確認しますが、「飛んで止まる」ボールというのは、ドライバーで初速が稼げ、スピンを抑え、飛距離が伸びる。だから、コアの内側は柔らかく、コアの外側は硬めがいい、ということでよろしいですか。
宮川 はい。 加えて、その分、最外層のカバーを軟らかく出来るのでアプローチスピンもかけられ、「飛んで止まる」を実現出来ます。グリーンまわりのアプローチのスピンに関してはカバーで決まると言えます。ロフトが寝ているので、表面には柔らかいカバーをつけたい。しかし、ロフトが立ってくると、コアの中心を潰すことによって、スピンを抑え、その結果強い球が出ます。
GD コアの内側を柔らかく、外側も柔らかくすると・・・・・
宮川 「柔らかい×柔らかい」ではボールとしての反発がとれないので、飛んで、止まるを両立させるために、コアの外側やコアとカバーの中間の部分に「硬い層」を入れて反発もとろう、というのが“多層構造”の考え方です。
GD TOUR Bは2ピース? 3ピース?
宮川 3ピースです。内柔外剛の大きなコアがあり、その外側に薄めの樹脂系の反発の良い中間層、その外側にウレタンのカバーで包む形になっています。低スピンにするだけだったら、もしかすると4ピースの方がまだいろいろできたりするかもしれませんが、「打感」ということも含め今回は3ピースを採用しています。
GD 飛んで止まる。どこまで「終着点」に近づいていると思いますか。
宮川 飛ぶだけのボールはコアの反発がとれた当初から作れるようになり、ウレタンカバーを採用して「Uスピン」のように止まるボールも作れた。スピンでいえば、レイグランデWFは軟サーリンだったので、ポッコンがどうしても出てしまいましたが、B330ではほぼ出ません。飛んで、止まる、2つのバランスでいったら、そうとういいところまで来ています。
GD 確かにTOUR Bで何度かプレーしましたが、距離もスピンも不満はありません。TOUR B330Xの方は、飛びに特化したジョーカーに負けず劣らず、TOUR B330Sの方は、Xに比べ数ヤード飛ばないかな? と感じますが、そのかわりグリーンまわりのスピンはなかなかのものです。
宮川 ボールの性能だけでモデルチェンジのたびに5ヤード飛距離を伸ばすのは正直難しいです。ただ「飛びと止まりの両立」はモデルチェンジ毎に進化してきていると自信を持っています。
GD それには試してみないとわかりませんね。
宮川 特に上級者ゴルファーに、この「ボールの進化」を一度試して頂きたいですね。
【今週の編集後記】
月→金コラム、今週もご愛読ありがとうございます。ボールの進化はどこまできているのか? メーカーの宣伝広告に謳われる「プラス10ヤード」は本当か?という多くのゴルファーの疑問に応えるべく、ボール開発の最前線で活躍されるブリヂストンスポーツの宮川氏にインタビューしました。
今回、宮川氏にもうひとついじわるな質問をした。今まで作ったボールの中で「一番のお気に入りは?」
宮川氏はツアーステージ「X01B+」だと答えた。「自分の中で自信を持てたボール」だそうで、飛んで止まる、風に強いバランスのいいボールが完成した。
しかし、最初は使用者が少なかったが、丸山茂樹はじめ何名かが使い始めると一気にその性能が認められ、大勢のプロが使用した。
上級者になればなるほど、慣れたボールを替えるのは抵抗があるもの確かではあるが、もっと飛んで、もっと止まるボールを求めてもいる。
2016年4月、マスターズ終了後に、ブライソン・デシャンボーが「ブリヂストンとボール契約を結んだ」ニュースが流れた。契約の理由に「真球」があった。「塩水に浮かして、どのメーカーのボールが真球に一番近いかを試した」
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