月刊ゴルフダイジェストの好評連載「振り子の教室」。パットにまつわるさまざまな疑問や悩みを、パット研究科の星谷孝幸先生が科学的な視点で解説してくれます。

Q
プロが使っている“太いグリップ”
何がいいの?

A
真っすぐ動かしやすく
当たり負けに強い

ツアーから火が付いた“太グリップ”。一般のアマチュアの方でも挿している方を結構見かけるようになりました。私も実際に試してみましたが、思ったよりも良い効果をもたらしてくれるようです。

その前に、パターグリップだけに許されたことがあるのはご存知でしょうか。それは、円形でない横断面を持つことができる、平たく言えばグリップの前面が平らでもいい、ということです。

画像: パター以外のクラブは、グリップの横断面が円形でなければならない、と規定されている www.jga.or.jp

パター以外のクラブは、グリップの横断面が円形でなければならない、と規定されている

www.jga.or.jp

この平らな面があることで、ヘッドを真っすぐ動かしやすくなる効果があります。もちろん、グリップが太くなればこの平らな面が広くなりますから、よりストレートにヘッドを動かすイメージが出るのです。

ちなみに、以前ゴルフダイジェストが調査したところ、プロのストロークは85%以上がストレート軌道もしくはイントゥストレート軌道だったと聞きました。真っすぐ動かしたいツアーで太グリップが人気になるのもうなずけます。「パターを真っすぐ動かしやすい」これが太グリップのメリットのひとつです。

もうひとつ、太グリップで特徴的なのが“ずん胴”であるということ。これも非常に重要で、左右の握る太さが同じだと、力感のバランスが取りやすくなります。

画像: スーパーストロークのような“ずん胴”グリップは、左右の手の力感が揃いやすい

スーパーストロークのような“ずん胴”グリップは、左右の手の力感が揃いやすい

実は通常の先細りのグリップだと、知らず知らずのうちに右手の力感が強くなりやすいのです。例えばボールに当たる瞬間、芯を外すと左右どちらかにフェースが回転しようとします。

そのねじれの力に対して、瞬間的に握力が強くなるのですが、このとき、太いグリップより細いグリップの方が、ねじれの力に対抗するのに大きな力を必要とします。

ギュッと握ってしまえば、前腕や肩に力が入り、ストローク自体からリズムが失われ、緩んだりパンチが入ったりして、ボールを思ったところに運べなくなります。しかし、ずん胴であれば右手の力は小さくて済み、ストローク中、力感が変わりにくいということです。

画像: 太グリップは緩んだりパンチが入ったりもしにくい

太グリップは緩んだりパンチが入ったりもしにくい

力感が変わらなければ、メリットの連鎖がおこります。力が抜けるので、ストロークがスムーズになり、インパクトでパンチが入ることもなくなり、距離感、方向性ともによくなってくるのです。

ただ、何事もそうですが、ずっと使っているとメリットを感じられなくなるものです。もし太グリップに替えたなら、たまに細いグリップで練習してみると、太グリップのいいところを再認識できるはずです。

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