月刊ゴルフダイジェストの好評連載「振り子の教室」。パットにまつわるさまざまな疑問や悩みを、パット研究科の星谷孝幸先生が科学的な視点で解説してくれます。今回も前回に引き続き、パターの種類によって打ち方は変わるのか、という疑問。前回は“ネック形状”によって、打ち方を変える、ということでしたが、今回は“ヘッド形状”に合った打ち方をほしや先生に聞きました。

センターシャフトは
真っすぐストロークできる人に

ネック形状によって変化するのは重心の高さだけではありません。ネックの付く位置によって前後に動きます。つまり“重心距離”の変化です。

ネックがヒール寄りに付いていれば、ヘッドの重心位置との距離は長くなります。逆にマレット型(ベントネック)やセンターシャフトといったものはシャフト軸の延長線上に重心があるので、重心距離は「ゼロ」になります。クランクネックのピン型はちょうどその中間ぐらいでしょう。

画像: ヒールからネックが立ち上がっているL字型は重心距離が約30ミリと長め

ヒールからネックが立ち上がっているL字型は重心距離が約30ミリと長め

画像: センターシャフトはシャフト軸線上に芯がある状態(重心距離がゼロ)

センターシャフトはシャフト軸線上に芯がある状態(重心距離がゼロ)

画像: クランクネックのピン型は重心距離がL字とセンターシャフトの間で15ミリ前後

クランクネックのピン型は重心距離がL字とセンターシャフトの間で15ミリ前後

L字型のような重心距離の長いパターは、基本的にショットの感覚が強くなるので、フェースを「開いて閉じる」動きを使って打つタイプに向いています。そう動かすことが、重心位置から見てもごく自然だからです。

反対に重心距離がゼロのマレットやセンターシャフトは「真っすぐ、真っすぐ」の動きで振るタイプに合います。もしここでフェースの開閉動作を積極的に入れてしまうと、フェースが返りすぎたり、返らなかったりとストロークが不安定になってしまいます。

画像: センターシャフトを愛用するキム・キョンテ。真っすぐにそして毎回芯で打てるストロークができる人には合っている

センターシャフトを愛用するキム・キョンテ。真っすぐにそして毎回芯で打てるストロークができる人には合っている

構造的にはトウ-ヒールの打点のズレに弱いタイプなので、ヘッドが真っすぐ動きやすく、スウィートエリアの広いマレット型やネオマレット型のヘッドに採用することが多いのです。

また、重心位置の違いを自分の弱点をカバーするために使うという方法もあります。まず、ロングパットの距離感が合いづらいという人は、重心距離が長めのパターを選ぶ方がいい。フェースの開閉によって生み出されるエネルギーは非常に大きいものがあります。

画像: L字パターを使い続けるフィル・ミケルソン。奇跡的なパットを何度も沈めてきた

L字パターを使い続けるフィル・ミケルソン。奇跡的なパットを何度も沈めてきた

ですから、小さなストロークであってもフェースの開閉を使うことによって、ボールの転がる距離が伸びます。小さな動きであれば芯に当たる確率が高くなるので、打点のズレによるボール初速の変化が起こりにくい。結果、距離感が磨かれやすくなるということです。

逆にショートパットが苦手なら、ベントネックの(ネオ)マレット型がいいでしょう。この場合、ヘッド形状が大型で慣性モーメントの高いものがベターです。多少の打点のブレはヘッドの性能でカバーしてくれますから。

画像: 「449ホール連続3パットなし」という驚異的な記録を作ったルーク・ドナルド。ショートパットに強いベントネックのパターを愛用する

「449ホール連続3パットなし」という驚異的な記録を作ったルーク・ドナルド。ショートパットに強いベントネックのパターを愛用する

次のパター選びでは、ぜひ基準のひとつにしてみてください。

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