軽井沢には″憲法″があるんです
東京から70分。いくら日帰りで簡単に行けるからといって、軽井沢を誰もが楽しめる一大レジャースポットと思ってはいけません。エッセイストの三善里沙子さんは言う。
「夏になるとよく雑誌やテレビで軽井沢の特集を組みますが、どれも軽井沢を表層的にしか捉えていない。この地には、ちょっと目には見えない門外不出の法則があって、それらがこの愛すべき上地の、すべての雰囲気を支配しているんです。この法則に気づくだけで、皆さんの軽井沢でのゴルフは、グッと充実したものになりますよ」
彼女に真実の正統派軽井沢について語ってもらいました。
正統派軽井沢ゴルファーになるために
0.9気圧の法則
カキーンと音が鳴るから、いつもの数倍、腕が上がったような気がする
今年の夏、軽井沢でゴルフしようと思っている皆さん。どうして軽井沢がいいんですかと聞くと、「涼しいから」「近いから」「なんとなくスノッブな感じだから」と答える方が多いですね。
理由は様々だとしても、ゴルフをするなら軽井沢がいい、というのには自然現象から発する根拠があるんです。
軽井沢の高度は約1000~1200メートル。この高地では気圧が、母親の胎内に入っているのと同じ0.9気圧だという説があります。この気圧ゆえ、ボールが当たると、透き通ったいい音が出るんです。
だからゴルファーは軽井沢に来ると、俄然うまくなったような錯覚に陥って、気分良くラウンドできるのです。スコアの善し悪しに目くじらを立てず、楽しくゴルフがしたいなら、やっぱり軽井沢が一番なんですね。
ピューリタンの法則
憧れはあっても、向き不向きがあるんです
熱海好きな友人がいます。友人はときどき、軽井沢にやってくるのですが「どうしてもここの良さがわからない」と言います。
軽井沢は、西洋の宣教師が発見した聖地。ですから、「飲む・打つ・買う」もってのほかの、日本ではじめての「避暑地」という不思議な場所が出来上がったのです。
つまり最初から、箱根や熱海とは生まれが違う。芸者やお妾さん、歌舞音曲といった騒々しいにぎやかさの代わりに、瞑想と祈りの静かな生活がウリです。
そんな街では、私の友人のように、どう頑張っても軽井沢が体質的に合わないという人がでてくるもの。無理してやってきても「旧軽井沢でソフトクリームを舐めるボク、何やってんだか、トホホ」なんてことになりかねません。別の地を探しましょう。
潜在的軽井沢度チェック
□手帳に予定がないと不安だ
□早食いだ
□旅のみやげは必ず買う
□ゴルフの時以外はあまり歩かない
□ネオンのない町はさみしい
□3日と空けずカラオケをする
□個人行動より団体行動が好き
□夜は居酒屋に限る
□旅行に行ったら観光スポットを巡る
□先週は一冊も本を読まなかった
※YESが6個以上ある方は、どんなに努力しても、軽井沢には合わない体質です。この際、諦めましょう
簡素の法則
ステータスはお金じゃない。これがよく現れるのがゴルフ場なのです
さて、自分が軽井沢に向いているかいないか、がわかったところで、本題のゴルフ場選びです。
その前に、ステータスの話を。軽井沢のステータスってなんだといったとき、目に見えて人を選んでいるということで、よく例に上がるのが新・旧軽井沢ゴルフクラブ。
会員になるには、(というよりほぼなれない)元首相でさえ落とされたという厳しい条件があり、誰でも入れるけど軽井沢イチ高い〇ゴルフ(数字が入る)と、大きく差をつけています。お金が高けりゃいい、って問題でもないんですね。
じゃあ、メンバーでもない人はどこのゴルフ場がいいのか。おすすめは手引きカートで料金も割安な晴山ゴルフクラブ。この余分な飾りのない簡素さは、軽井沢といえるでしょう。
月刊ゴルフダイジェスト 2000年7月号/Choice 2010年7月一部抜粋