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軽井沢を愛し、独自の目線で描いた「軽井沢の法則」の著書、エッセイストの三善里沙子さんに「正統派軽井沢ゴルファー」になるための極意をお聞きしました。
腐っても旧軽の法則
猫も杓子も軽井沢とはワケが違います
軽井沢でゴルフするなら、最低2泊はしないと、その良さはわからないものです。その宿泊先は、旧軽井沢をおすすめします。昔ながらの別荘族は、旧軽しか「軽井沢」と認めません。他の地は「沓掛」を中軽井沢に改めたのをきっかけに、猫も杓子も軽井沢に変わっていっただけだとしか思っていないのです。
金額的に泊まりやすいのは、文豪たち常宿だった名門つるや旅館、大勢なら貸別荘の前田郷。どちらも立地条件は抜群です。また、中軽井沢でも大好きな星野温泉、塩壺温泉は年配の男性ゴルファーにおすすめです。
朝ご飯から今日の一日のゴルフが決まるの法則
散歩がてらに浅野屋のパンが別荘族の朝の掟です
ゴルフが目的で軽井沢に来たとしても、これだけははずしちゃいけないのが朝の散歩です。軽井沢は本当にたくさん散歩に適した小道があります。別荘族は散歩がてらに朝食用の浅野屋のパンを買うのが習慣です。貸別荘に滞在するなら、ここのサラダやお惣菜もおすすめ。
また、大浅間ゴルフクラブ近くの「キャボットコーヴ」もおすすめです。
若い頃留学していたアメリカ東海岸のおいしい昼食に感動し「いつかこんな店を」と長年の夢を叶え、オープンしました。ジャムやソーセージなどが手作り。別荘地の中に静かに佇むお店です。
お茶の時間の法則
オープンカフェなんてここ100年前から常識です
軽井沢はイギリスの宣教師が発見したことからスタートしました。ですから、イギリスの習慣「午後のお茶」は、軽井沢でも当然なんです。人気なのは、万平ホテルのテラスや、六本辻のカフェ・フィラーネ。その近くのミハエル。「万平ホテル」は観光客のご婦人たちが大騒ぎという時もあるので、とにかく人がいない時間を狙いましょう。
「カフェ・フィラーネ」は、軽井沢の象徴でもある庭の苔が名物。「ミハエル」では、「浅野屋」のパン、「デリカッセン」のハム、「紀ノ国屋」のレタスを組み合わせたサンドイッチが食べられる。どれも自然の中で飲食できるのが、軽井沢的です。
軽井沢御用達、食事の法則
軽井沢での夕食は、家族でとるのが基本です
ピューリタンな街、軽井沢は安心でクリーンな街です。昔からココは家族と行くのが一番といわれてきました。だから別送族が好んでいく店は、家族向けが多いんです。昔から私がよく利用する店を紹介しましょう。
まずは、「洋食・菊水」。別荘族の老人が多いところをみると、昔ながらの軽井沢の洋食の味なんでしょう。どんなに混んでいても、相席にさせない心遣いを感じます。そして、同じ路地にある「天ぷらの万喜」。信州の天ぷらは、衣がボテッとついたものが多いけれど、ここは衣が薄くてサックサク。スッキリした江戸前の天ぷらは、地元の人にも根強い人気。
次は、中華の「榮林」。ここはけっこうなお値段をとりますが、大切なときに使います。その側の「赤坂飯店」は、一見高価そうなんですか、こちらのほうがリーズナブルです。あと、当たり前でも、やっぱりいいのは万平ホテルのダイニング。雰囲気だけでも行く価値があります。
せっかくだからもう一杯となったら、バーもいいけど居酒屋もいいですよ。高原で旨いお魚とお酒が恋しくなったら、「炉ばた焼 藤村」。午後8時をすぎれば深夜のように静かになってしまう軽井沢で2時まで営業。しかも日本海産のノドグロなど、驚くほど新鮮な魚を食べられます。
軽井沢のゴルファーは、散歩がてらに浅野屋のパンを食べたり、碓氷峠まで行って、峠の力餅(大根おろし・あんこ・ごまなどあり)を食べ、見晴らし代に行って浅間山を眺めるものです。
軽井沢は、政治家などVIPに人気がありますが、のんびり歩きながらいろんなことを考えられる、という点がその所以なのかもしれませんね。
月刊ゴルフダイジェスト 2000年8月号/Choice 2010年7月 一部抜粋