パットにまつわる疑問や悩みをパット科学研究家の星谷孝幸先生が解決する、月刊ゴルフダイジェストの人気連載「振り子の教室」。今回のテーマは「パターの長さ」。さっそく、ほしや先生に自分に合ったパターの長さの見つけ方を聞いてみましょう!
長くして速く振ると
パットも振り遅れる
「ピン」には長さを調整できるパターがありますが、これは実に興味深いアイデアだと思っています。なぜなら、この“長さ”がパッティングで一番重要な“距離感”を左右する大きな要素のひとつだからです。
パターの長さは、自分の構えやストロークに合っているかで決めるのが一般的ですよね。もちろんそれも大切なことですが、パッティングの“距離”とグリーンの“速さ”の兼ね合いで選ぶことが、パット数を縮めるのに大いに役立つのです。
まず速いグリーンで、2~3㍍がどうしてもショートしやすい、そんな人はストロークのリズムがゆっくりなことが多いはず。リズムが速い人が高速グリーンでショートすることはまずありません。このタイプに合うパターは“長め”です。
ストロークのリズムは同じでも、パターを長くすることで、ヘッドスピードが上がり慣性モーメントも大きくなるので、自然とボールに伝わるエネルギーが大きくなり、カップに届くようになります。
逆に重いグリーンで、2~3㍍がショートしがちな人。そんな人は“短め”のパターがお勧め。そしてストロークのリズムを速くすることです。重いグリーンではボールの初速を上げることが大切。そのためには短いパターでクイックに振ることです。
初速を上げるなら、長めのパターでもいいのでは、と思うかもしれませんが、長めのパターでゆっくり振っても、ボール初速は上がらないのでやはりショートしやすくなります。それならと、長くして速く振ってしまうと、ドライバーの長尺と同じように振り遅れて、方向性やミート率悪くなるので、相性はよくありません。
パターを短くしたときは
“手打ち”にご用心!
もうひとつ考えておかなければならないのが、ヘッドの“形状”。大きくクランク(かぎ型)ネックの「ピン型」と、シャフトが直接ヘッドに挿してある「マレット型」に分類すると、この両者では重心の位置が大きく違います。
ピン型が高重心なのに対し、マレット型は重心が低い。この2つ、同じ長さでも振り心地に大きく差が出るのをご存知でしょうか。
重心が低いマレット型は、重心(重さ)がより手元から遠い位置にあるので、ヘッドが走る感じが強くなります。
対して重心位置が高いピン型は、ヘッドの走りは小さめ。ですから、同じ距離感を出したいときには、ピン型ユーザーならマレットを短く設定、逆にマレットユーザーならピン型は長めにする方が、両者の違和感はなくなるはずです。
これらを踏まえて、パターを長くする、あるいは短くするときにそれぞれ注意してほしいことがあります。
まず、長くした場合。長いパターというのはパター自体の慣性モーメントが大きい、つまり動き出すとそれを補正するのは難しくなります。微妙な距離の調整がしにくいということです。長いパターの場合は、高速グリーン、さらに下りのパットでは、テークバックをゆっくり小さく動かすことが大切です。
反対に短くした場合には、パターの慣性モーメントが小さくなるので、つい自分の力で速く振ってしまったり、手先で打ってしまいやすくなるのです。高速グリーンのショートパットでこれをやると、たちましカップを外すようになりますので、意識してゆっくりしたリズムを心がけるようにしましょう。
身長と構えによって
適正な長さがある
長さは構えとも密接に関係しています。両腕が五角形になる構えの場合は、腕の曲がりが長さを吸収するのでやや長め、反対に三角形の場合は、パターが長いとライ角が合いづらくなるので、やや短めのパターが合います。ひとつの目安にしてください。
【両腕が五角形の構えの場合】
身長 180センチ⇒35インチ
身長 170センチ⇒34インチ
身長 160センチ⇒33インチ
【両腕が三角形の構えの場合】
身長 180センチ⇒34インチ
身長 170センチ⇒33インチ
身長 160センチ⇒32インチ
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