シビアなポジションでも果敢に狙いバーディチャンスにつけてくる、トッププロのキレのあるアイアンショット。あの”ぶ厚く”て力強いインパクトを手に入れるには何が必要なのか?
月刊ゴルフダイジェスト8月号のアイアン上達ブックで書ききれなかったレッスンを2回に渡って詳しくお届けします。
プロのスウィング写真を見ると、ダウンスウィングで“タメ”がビシッと決まっている。形だけマネしようとしてミスショットを連発していませんか?
今回は正しいインパクトの形と、それを実現する体重移動について永井延宏プロに詳しく解説してもらいました。
誤解ワード1
タメをキープして振る⇒体が開いてつかまらない
誤解ワード2
グリップエンドがボールを指す⇒クラブが寝て手元が体から離れる
誤解ワード3
タメたら一気に手を返す⇒リリースが早くなり過ぎミスの温床に
人工芝がクセモノ
タメなしインパクトでもナイスショット
練習場では結構当たっていたのにコースへ行くといきなりダフリ…この現象の要因の一つには、練習場のマットがあるようだ。下の高速カメラが写したように、人工芝のマットはヘッドがボールの手前に落ちても、ソールが前へ滑って“まあまあのインパクト”になる。球がちゃんと飛んでくれるから、ダフったことに気づかないのだ。
ところがコースの天然芝は、手前の地面に当たるとヘッドが突っかかってしまい、ミスショットになる。つまり、ヘッドを“手前から”じゃなくて“上から”入れなければ、ダフりやすいし、厚く当たらない。キーワードは “タメ” だと永井延宏プロは言う。
ぶ厚いインパクトはダウンブロー
「切り返しからスピードを出そうとして振りにいくと、タメが早くほどけて、ヘッドが遠回りして落ちてしまいます。でも、手首の角度をほどかずに打つことで、クラブがプレーンから外れずに、ヘッドを鋭角に打ち込んで、ボールを強く押し込めるんです」
ではどうすればアイアンのぶ厚くて正しいインパクトを覚えられるのでしょうか?
ポイント1 イメージは7時の位置のボールを打つ
いわゆる ハンドファーストなインパクト とは時計の文字盤でいう「7時」にあるボールを打つイメージ。この形だと右手で押さえつけるようにヘッドを鋭角にいれられる。
練習場の人工芝の上だと、6時の位置のインパクトでもマットの効果でヘッドが滑りナイスショットになってしまいます。6時の位置で構えているポジションを7時の位置で打つには ”1時間分”の体重移動 が必要になります。
もう一つ重要なのは、写真の 7時の位置にあるボールを打てる軌道とフェースの向きで下ろしてくる ことです。6時の位置にあるボールにだけ合わせて下ろすのはNGです。右手の平は下を向いいてクラブを押さえつけながら降りてくるイメージです。
ポイント2 正しいタメを作るには体重移動が大きなポイント
“タメる”のではなく自ずと“たまる”
”タメは手で作らずに体重移動とクラブの重みを利用する意識 が必要なんです。切り返しからインパクトにかけて左サイドに体重移動をすることで、自然にヘッドが遅れてタメができる。それがハンドファーストなインパクトを実現するんです。
ボールの位置をかえるだけではダメです。しっかり左サイドに体重移動をすることで手元が先行し、腕とクラブに角度がキープされた正しい”タメ”が作られます。
正しい体重移動は左ー右
左に体重移動しながらクラブを上から押しこんでいく。インパクト直前までは左にある体重をインパクトでは右に戻すことで「ビハインド・ザ・ボール」(頭がボールより後ろにある形)を実現できる。
2枚目の画像までは左に体重を移動させながら右手が上になって押し込む形になっている。3枚目の画像では体重が左から右に入れ替わりながら頭が後方に下がって4枚目の画像に向けて手元が振り出されている。
狭いスタンスの中でも体重移動を感じることで、ハンドファーストの入射角とクラブヘッドを効率よく加速させることができる。
マキロイのスウィングの下半身の動きを重点的に注目してほしい。バックスィングで右サイドに体重が乗った後、切り返しで左に思い切って移動しています。この動きで自然な”タメ”を作り、インパクトは、ややハンドファーストにむかえられます。
その後、一瞬左サイドをブロックしてクラブと頭が引っ張り合うような形になっています。左サイドに体重を乗せたままだとこの形にはなりません。スタンスの中でしっかりと体重移動をしている証明になります。
ありがとうございました、永井プロ。次回もよろしくお願いします。次回はフェース面をコントロールする右手の使い方をもっと詳しくお届けします。
月刊ゴルフダイジェスト8月号から一部抜粋
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