これぞ万能クラブ! スリクソンZシリーズアイアン
スリクソンから登場した新「Zシリーズアイアン」。同シリーズだしそこまで違いがないのでは?と思われがちだが、それは違う。第一にロフト角ですら「965」と「565」では2度ほど異なっているからだ。スペックからもクラブそれぞれの違いが表れているが、打ち比べて打感や弾道などより詳しく違いをあぶりだそうと思う。
これぞ今どきマッスル! 「Z965 アイアン」
まずは「965」から試打。小ぶりでトップブレードが薄く、「マッスルバック」らしい上級者が好きそうな精悍な顔つき。実際に構えてみると、イメージした弾道が打てそうなシャープさを感じる。
ダウンブローにしっかり打ち込むと応えてくれるモデル。おそらく他のモデルに比べるとそこまで低重心ではない。そして、芯を喰ったときの打感は、軟らかくて格別だ。インパクトでボールが喰いつく感じがして、押していける。この打感があるからこそ、ボールをイメージ通りに操作することができるのだ。
そして、“飛び系アイアン”と違って「飛び過ぎない」というのもいい。アイアンは決められた距離を正確に打つことが求められるクラブ。そういう意味で、飛び過ぎたりせずに、自分の思い描く弾道を打つことができる。だからコースでも信頼できる。
また「マッスルバック」とはいっても、昔ほど難しいわけではない。球も上げやすくなっているし、多少の打点のズレはカバーしてくれる。今まで「マッスルバックは難しいもの」と決め込んで敬遠していた人にぜひ一度試してもらいたい。
“カッコよさ”と“やさしさ”のバランスが絶妙「Z765 アイアン」
続いては、「765」アイアン。顔は「965」同様に小ぶりでシャープな印象だ。しかし、トップブレードが若干厚くなっているところを見ると、「965」よりもやさしいモデルだということが伺える。
ハーフキャビティならではのマイルドな打感が気持ちいい。「マッスルバック」とは少し感触は違うが、このモデルも軟鉄特有のやわらかい打感でボールを押していける。
そしてスウィートエリアも「965」に比べると広く、多少のミスヒットでも飛距離の落ち込みは少ない。「965」同様にソールの抜けも申し分なしだ。
上から打ち込んでもいいし、払い打つ感じでも、球はしっかり上がってくれる。車の変速機に例えると「セミオートマチック」の操作性だ。
見た目はシャープで、一見上級者向きと思われるが、打ってみると「やさしい」。小ぶりなヘッドはアドレスで集中力を高める効果も期待できるし、打って「やさしい」なら文句なし。「765」は“カッコよさ”と“やさしさ”を両立したバランスのいいクラブだ。
アスリートモデルなのに“やさしさ”を追求したモデル「Z565 アイアン」
最後に、ポケットキャビティの「565」を試打。見た目は、小ぶりというわけではないが“締まった”いい顔だ。フェース面が大きくて安心感のあるフォルム。トップブレードもシリーズの中では最も厚い。ボールを前にして構えてみると、セミグースでいかにも球が拾いやすそうだ。
打感は思っていたよりも「ソフト」。ポケットキャビティといえども、ボールの感触はしっかりと手に伝わってくる。弾き感が強いのもこのモデルならでは。
そして何より球が高い! 強い弾き感とともに「低スピン」「高弾道」で飛んでいく。スウィートエリアが広く、球も簡単に上がってくれる。さすがシリーズイチの“やさしさ”といった印象を受けた。そしてこのZシリーズに共通する、ソールの抜けの良さは抜群!
見た目もスリクソンの名に相応しいアスリートモデルのアイアンだが、ハードさは全くない。このクラブはスピンでグリーンに止めるというよりは、球の高さで止めるタイプ。多少薄く当たっても球は高く上がってくれて、飛距離も出てくれるからコースでは強い味方になるだろう。
車の変速機でいうならオートマ車。アクセルとブレーキだけ操作すればあとはクラブが勝手に最適な弾道を描いてくれる。ソール幅は広いものの独自のVの字にカットされているおかげで抜けがよく多少のダフリでもカバーしてくれそうだ。