ジャンボ尾崎を支え、伝説のキャディと言われた佐野木計至。そんな佐野木を凌ぐ勢いなのが、現在イ・ボミのキャディをしている清水重憲。現在の“伝説のキャディ”でもある清水のキャディ論を聞いてみた。

14本の最終決定は清水の仕事

イ・ボミは通常クラブを15本入れて練習ラウンドに入る。その中からどの1本を抜くのかは、基本的に清水の判断。さらに、球筋や飛距離からクラブをどう調整すべきかをメーカーに伝えるのも清水に委ねられている。

画像: クラブ選択まで信頼をされている

クラブ選択まで信頼をされている

「多くの場合は25度のUTと5番アイアン、どちらを抜くかの判断ですが、コースや天候などのコンディション、本人の体調によって見極めています。それこそ、“日替わり”になることも珍しくありません。今年はアイアンを替えたことで、ちょっと球が飛び過ぎていたんです。なので、ロフトを0.5度ずつ寝かせたらピタッと距離が合い、それが『保険の窓口レディース』の連覇の一因となりました。
(※2015年現在の話)」

そんな清水の仕事ぶりを、イ・ボミに尋ねると、かなり上達した日本語でこう答えてくれた。

画像: イ・ボミからの信頼も厚い

イ・ボミからの信頼も厚い

「ノリさん(清水の愛称)は、決断が凄く早い。それに私が考えていることとほとんど一緒。だから迷わずに打っていくことが出来ます。これは本当に助かりますね。私は疲れてくると面倒くさくなって、プレーが雑になるんですけど、そんな時も気持ちを乗せてくれる」

「それに私が知らないことをいろいろと教えてくれます。ノリさんがアップグレードしているのを感じますね。とても尊敬しています! ただ、覚える日本語が関西弁でちょっと困るんですけどね(笑)」

イ・ボミの表情や言葉には、清水へのゆるぎない信頼がにじみ出ている。

清水のキャディ人生は22歳の時、大学の先輩の杉本周作に請われたことに始まる。その2年後には田中秀道のキャディとして帯同、そこで“プロ意識”を叩き込まれた。

「試合中は想像以上に、張り詰めた緊張感がある。そこでどう振る舞うか、どんな言葉をかけるか、これは厳しく指導してもらいました。こちらの何気ないひと言も、試合では妙に引っかかったりするんです。分かりやすい例だと“ここ、右OBですよ”という言葉。まったく意識していなかった選手にとっては、余計な情報になってしまう」

「かといって伝えるべきことは伝えなくてはいけない。そのあたりの間合いを秀道プロは意識して指導してくれました。誰のキャディをしても通用するように、という親心だと感謝しています。」

画像: イ・ボミを支える清水キャディ

イ・ボミを支える清水キャディ

プロゴルファーは死にもの狂いで賞金を獲りに行っている。その舞台にいる以上、生半可な気持ちでは務まらない。プロと一緒に“戦う”意識もこの時に醸成された。その後、谷口徹のキャディを務め、2度日本オープンを制するが、そこではマネジメント、ショートゲームの大切さを学ぶことになる。

「谷口プロはマネジメントと小技で勝負している選手。パー5でのバーディチャンスの作り方、長いパー4でパーで切り抜ける方法などは、とても勉強になりました」

ショートゲームの大切さに関しては、その後コンビを組んだ平塚哲二、スポット的に担いだ藤田寛之からも学んだ。その中で彼らに共通することを見つけたという。

「ここはダボちゃうか、という状況でも必死にボギーを獲りに行く。彼らはとにかく“あきらめない”。この1打への執着心は僕の仕事のアイデンティティにもなっています。優勝争いはもちろん、75や76を叩きそうなときでも、“1打でも少なく”という気持ちが、運を運んでくれることもあるんです」

予選落ちが決まっているような状況では、距離やライのジャッジも“だいたい”になることが多いというが、清水はどんな時も変わらず仕事をこなす。普通のことをしっかりやり続ける姿勢には、キャディ仲間も一目置いている。

画像: 正確な仕事ぶりは他のキャディたちも一目置いている

正確な仕事ぶりは他のキャディたちも一目置いている

また、空気の読み方、優勝争いをしている時のプロをリラックスさせる雰囲気作りは、なかなか真似できないのだという。この点がイ・ボミが清水に白羽の矢を立てた大きな理由でもあった。

イ・ボミがアース・モンダミンカップを勝利したことで清水が男女ツアーでサポートした勝利数が33勝となった。さらにイ・ボミがmeijiカップにも勝利したことで、その勝利数は34勝へ。そしてCAT Ladiesでさらに優勝を重ね35勝。この記録はさらに伸びそうだ。

画像: 現代の伝説のキャディ清水重憲

現代の伝説のキャディ清水重憲

ジャンボ尾崎のエースキャディ佐野木計至の32勝を抑え、清水重憲は今まさに“伝説のキャディの道”を順調に歩んでいる。

月刊ゴルフダイジェスト10月号より一部抜粋

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