軽井沢高原ゴルフ倶楽部は、クラブハウスが背景に最も美しく映えたゴルフ場だと思っています。私はかつて、「ここでは、クラブハウスは、まるで森を着ているように見える」と書きました。9番ホール、17番ホールでボールを打ちつなぎながら、次第にクラブハウスに近づいて行く頃合いの微妙は、他コースにない感動です。
軽井沢の町から鬼押し出しの前を上り続けて30分。前橋へ降りる峠道は、クラブハウスの背後遠く高く、そのまま屏風絵になっています。
18ホールは深い森の中に象嵌されています。森の樹は130種、77万本。自生したものか域内から移植したものです。18ホールは大成建設のショーウィンドウ。川奈・富士の大倉組以来、ゴルフ場造成のキャリアは日本随一です。
あらゆるノウハウが表現されているはずの18ホールですが、どこにも人工的なやり過ぎがない、優雅な森の小径のようなコースです。10番ホールのような赤松の疎林もあり、17番の空には浅間の姿が高く、噴火のときは降灰もあったそうです。
「新軽」の翌日、ここでのラウンドが軽井沢ゴルフのセレブルートでしょうか。
写真/三木崇徳
2007年ゴルフダイジェスト社刊
田野辺薫「一度は回りたいニッポンの名コース」より