現在の日本ツアーを支えているといっても過言ではない外国勢の活躍も、そのルーツをたどると男子では陳清波、女子では涂阿玉、2人の台湾出身ゴルファーにつながる。今週の月金コラムは「台湾ゴルフのDNA」と題し、台湾ゴルフの黄金時代を作り上げた陳清波と涂阿玉の話からその歴史や強さの秘密を紹介する。
「Vol.1~3」では台湾ゴルフの歴史や強さの秘密、パンチショットにいたるまでを涂阿玉に語ってもらい、前回の「Vol.4」では陳清波に台湾ゴルフの歴史を語ってもらった。
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「Vol.5」では、引き続き陳清波に、台湾のゴルファーを語る上で避けては通れないキーワード「スクェアグリップ」について語ってもらった。
「スクェアグリップ」は川奈から台湾へ伝えられた
陳清波 台湾のゴルフ場は英国スタイルを導入したから、ほぼ皆フックグリップでしたね。私もフックグリップで5年間やっていました。だから普通に当たればフックするし、それを怖がって体が起き上がると右に飛ぶので困っていました。
陳清波が「スクェアグリップ」に出合ったのは、日本に来てからだった。
陳清波 1954年に川奈に来て初めてスクェアグリップを見たんですよ。米ツアーから陳清水プロが持ち帰ってきたんです。それで僕は陳さんから「そんなグリップじゃフックしかでないぞ、スクェアに直した方がいい」って言われて直したんです。
「スクェアグリップ」はしばしば『ウィーク』、『スライス』のグリップだと言われる。しかし陳に言わせるとそれは違う。
陳清波 スクェアグリップはボールを叩けば叩くほどドロー系の球になるんです。それでボールにいい回転がかかるから飛距離も出る。低い球だって打ちやすいし、体が起き上がらない限りボールは右には飛ばない、スライスはしない。これは自信を持って言えます、スクェアグリップはスライスグリップじゃないんです。
その後陳は、川奈で覚えた「スクェアグリップ」を台湾に持ち帰った。
陳清波 僕がスクェアグリップで打った球を見て、師匠の陳金獅さんは目を丸くして驚いていました。「なるほど。変わったなぁ」と。
また陳清波は、ヤニ・ツェンのグリップについてこう評した。
陳清波 ヤニ・ツェンのグリップはね、右手の添え方は悪くない。問題は左手。少しセミフックみたいな感じだね。これで手をターンさせると引っ掛けになるんだけど、彼女はそうはならない。なぜか?フォローで腕が真っすぐになっているでしょ。まるでハンマー投げを見ているようだ。これなら曲がらないですよ。僕の全盛期もこんな感じだった。
最後に、陳清波プロにヤニ・ツェンのスウィングを分析してもらった。「孫ほど年が離れているからなぁ、ハハハ」と笑いながら、陳は写真を見て語り始めた。
最後に陳清波の口から出たのは、自身の得意技「ダウンブロー」だった。どのような経路で伝わったのかは分からないが、巨星のDNAはヤニ・ツェンなど若いゴルファーへと繋がっていた。台湾のゴルフの伝統と技術は、今も連綿と幹から枝へと伝わっていた。
「台湾ゴルフのDNA 」(vol.5)
※チョイス No.119より