「親父のおさがり鑑定団」では、過去モデルではあるものの、未来に継承したいそのクラブにまつわるエピソードをご紹介します。

タイトリスト「DCI962」

この操作性にプロが納得

タイトリスト「DCI962」
1992年

キャビティながら高い操作性を持ち、プロや上級者の技術に応える。とはいえ、低重心であり、アマチュアが打てないということではない。

米国が「フォージド」を捨てた時代

ツアーで実績を積んだモデルだけを商品化し、市場に投入する。これがタイトリストのポリシーだ。鍛造アイアンにこだわり続け、手応えのあるモデルを作り続けてきた。しかし、90年代前半に入るとクラブの製造技術が進化し、鍛造絶対主義が米国で崩れ始める。それまで主流でなかったステンレス鋳造でもツアープロが認めるアイアンを作れるようになったのだ。

画像: 絶妙な「逃がし具合」

絶妙な「逃がし具合」

鍛造よりも安価でかつ精度の高いものを大量に生産できる鋳造製法は、当時の米国で一気にブレイクし、多くのメーカーが鋳造アイアンをメイン商品に据えた。

その時代にタイトリストが用意したのが、この「DCI962」。ラインナップ中、適応ヘッドスピードが最も高く、オフセットも最小。他に鍛造モデルも揃えられていたが、最高峰に位置したのはこの「962」。

画像: つかままりもほどほど“ちょいグース”

つかままりもほどほど“ちょいグース”

そして、これを武器に活躍したのが、デビッド・デュバルだった。彼の持ち味はフックグリップでフェースターンを抑えたスウィングから繰り出すドローボール。つかまりのいいアイアンを使うと極端なフックを誘発する恐れがあり、デュバルはオフセットの小さい「962」を好んだ。(さらに小さい受注モデル「962B」を使った時期もあるという)。

左へのミスを嫌ったデュバルが愛用した

自らに合った道具を選び、若きタイガーも抑えてデュバルは98年の賞金王に輝いた。

※月刊ゴルフダイジェスト2013年6月号より

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