「南アフリカの子供たちを、プレー技術と教養を兼ね備えたゴルファーに育てたい」そんな思いでアーニー・エルスが立ち上げた「アーニー・エルス&ファンコート財団」。そこから育った南アフリカのプロゴルファーがいままさに人気と実力を兼ね備えている。
なかでも、勢いが止まらないのはブランデン・グレースだ。2016年の世界ランキングは14位。カタールマスターズとRBCヘリテージで優勝し、全米プロゴルフ選手権は5位と好調をキープ。28歳にして早くも南アフリカを代表する選手にまで登りつめた。
そして中堅ドコロも見逃せない。世界ランキング17位のルイ・ウエストハイゼンは2010年の全英オープンでメジャー初優勝を飾り、12年のマスターズと15年の全英オープンではプレーオフで惜しくも敗れ2位。愛らしい表情から”シュレック”というあだ名で親しまれている。
早めにリストをセットすることでややフェースを開きながらテークバックし、ダウンでは左ひじの手繰り寄せでフェースを閉じる。いかにもタフな欧州ツアーでもまれる中で活躍し続けた球さばきだ。
フェースコントロールという観点からみると、アーニー・エルスがフェースをややシャット気味に使うのに対して、ウエストハイゼンはオープンフェースでとらえる特徴がある。開いたフェースをどういうふうにボールへ当てるかで、天候や芝、土壌などあらゆる環境下でも対応できるテクニックをもっている。
そしてもうひとりがシャール・シュワルツェルだ。’02年に当時欧州ツアー史上3番目の若さでQスクールを突破してプロに転向。2010年に初めてメジャー4戦にフル出場し、翌年の’11年に悲願のマスターズ制覇を遂げた。
エルスと同じ体の剛性感があり、左ひじや体の使い方にも共通点がある。ただ、スクェアフェースで柔らかくボールをとらえるところが少々異なる。その分コントロール性がずば抜けており、狭いターゲットをスピンの効いたボールで攻められる。
シュワルツェルは、ウエストハイゼンとは対照的に、左腕を伸ばしたスウィングが特徴。グリップエンドを手繰り寄せるのではなく、ターゲット方向へ引っ張る動きをしている。アドレスで腕や体をガッチリ固めた剛性感はエルスと共通する部分だ。
ボビー・ロックにはじまり、G.プレーヤー、アーニーエルス、そしてC.シュワルツェルにL.ウエストハイゼン。そして時代はB.グレースと南アフリカの勢いはまだまだ加速しそうである。
※チョイス No.198より