深読みジャンボ語録。その裏の意味を味わう
「トレーニングは例年通り。まっ、賞金王は普通にやってればとれるだろう」
これが賞金王争いを演じるシーズン終盤の発言でなく、開幕戦の東建カップ初日、というのが恐れ入る。結果はその通りになりそうな気配。自分に対し、自分の言葉でプレッシャーをかける。それがジャンボ流ということだ。
「来年のメジャーが楽しみだよ。やっと何をすればいいゴルフが出来るか分かってきたし、“内弁慶”と言われないような成績をひとつでも出したい」
18アンダーという驚異的なスコアでぶっちぎりの優勝を飾った直後の発言がコレ。自信か自分に対するプレッシャーか。ともあれ、メジャーでの活躍に期待がかかる。が、一方で、メジャーに対し、弱気な発言があるのもまた事実。全米オープンの練習日。
「ここの設計者はサドかマゾだな。人を困らせるのが好きらしい。ゴルフをやってて楽しくない!」
とブ然とした表情。最終日80の大叩きで失速するにいたって、
「もうメジャーで戦うのは精神的に苦しいし、技術不足、体ももたない…。反省材料が多くて、自分のレベルを認識させられるよ…。これじゃもう大口叩けなくなっちゃう…」
果たして弱音は本音か?もっともメジャーで勝てないことを批判されることに対し、帰国後、
「夢がボクの体の中にある以上、トライしていきたい!」
この立ち直りの早さもジャンボ尾崎の魅力である。魅力といえば毒舌もまたジャンボの魅力。その期初めてAON揃い踏みとなったダンロップオープンでは
「Aはまだ(ビッグネームに)入っているの?だってあの人はアメリカのシニアで頑張っているんじゃない!Nは鬼の居ぬ間のなんとやら、だろ?ほかの人は眼中にないね」
続けて予選落ちした丸山茂樹には
「オレが土日にどんな風にプレーするか、しっかり見ておけよ」
どんな毒舌も許されてしまう、という辺りが“永遠のヤンチャ坊主”の所以なのだろう。活字にするとかなりドギツイ発言もあるが、それで若手選手いプレッシャーをかけている、という批判は筋違いだ。日本プロで死闘を演じた合田洋に対して
「合田はこの風で終わると思ったのによく耐えた。彼に乾杯だね」
実はこの試合、スタート前に「ジャンボは合田を無視しプレッシャーをかけた」とテレビのアナウンサーが話し、物議をかもした。が、合田によればそんな事実はないばかりか、「よく頑張ったな」と肩を抱かれた。翌日合田はお礼の電話をジャンボに入れているが、ジャンボに対する誤解と、彼の人となりを示すエピソードだ。
1995年月刊ゴルフダイジェスト10月号より
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