アジア勢として初のWGC(世界ゴルフ選手権シリーズ)制覇という偉業を携え、今週2016三井住友VISA太平洋マスターズで国内ツアーに凱旋する松山英樹。トーナメントウィークの月曜日、コースに顔を現して早速練習グリーンで1時間みっちり「ある練習」を行う姿をキャッチした!
日本凱旋となった松山は、月曜日の段階で早くも会場である太平洋C御殿場Cにいた。向かったのは練習グリーン。いくつかのラインでボールを転がし、選んだのは距離にして約1.5メートル、ボール一個分曲がるかどうかの「上りのややフック」だった。
足元にはティペグを立てて練習器具を置き、ヘッドの軌道とボールの打ち出し方向を厳密に管理。そしてこの場所でみっちり1時間1本(1ライン)勝負! と言わんばかりに、ひたすら練習を繰り返した。しかも、ご覧の通りほとんどの時間を「片手打ち」に費やしていた。この練習にはどんな意図があるのか? プロゴルファーの資格を持つ「みんなのゴルフダイジェスト」編集部員・中村修に意見を聞いてみよう。
「フックラインを練習していたということですが、フックラインは左に打ち出すと当然ながら入らないライン。つまり、インパクトでフェースを返してはダメなライン、と言えます。手首をインパクトで返してしまうとボールは左に打ち出されてしまいますから、まずは手首の余計な動きをさせない、という意図が感じられます」(中村)
右手の角度をキープしてヘッドを「リリースさせない」
「片手打ちに関してですが、我々プロはこのような右手一本打ちの練習をよくやります。これは、右手首の角度をインパクト後までキープすることを意識することで、ヘッドをリリースさせずに打つため。ヘッドをリリースしてしまうとタッチが合わなくなってしまうのですが、それを避けるためのドリルだと思われます」
「一般に、左手はパッティングの方向性を司ると言われますが、松山選手の練習を見ていると、右手も左手も体もヘッドもすべて一体にしたい、同調させたいという意識を感じます。練習中に胸やおなかに手を当てる姿が見られますが、おなかや胸の挙動とクラブの挙動を一致させたい、そういうイメージではないかと思います」
「常におへその前にクラブをキープし、おなかの動き、胸の動きとヘッドを同調させる。太平洋C御殿場Cの高速グリーンに対応するための、松山選手なりの練習なのでしょう」
世界ランク7位。現時点ではバッバ・ワトソンやリッキー・ファウラーよりもランクが上の超トッププロである松山が、開幕3日前の月曜日から、このような「基礎練」を愚直に行っている。
松山英樹が練習グリーンを去った後、そこには1時間ひたすらボールを打ち続けた証である「足跡」がくっきりと残されていた。松山が世界のトップである理由を雄弁に物語る、そんな足跡と言えるかもしれない。
今週の「週刊ゴルフダイジェスト」では松山英樹を巻頭カラー16ページで大特集。こちらも是非、チェックを。
※2016年11月8日13時50分、一部事実関係を修正しました