16個ものウェートが装着された 重心可変ドライバー
PXGは、「コスト度外視で地球上で最高のゴルフクラブを開発する」という理念の元、大手クラブメーカーからデザイナーを引き抜き2014年に誕生したアメリカの新興クラブメーカーだ。契約プロには、ビリー・ホーシェル、ザック・ジョンソン、ライアン・ムーア、シャール・シュワーツェルなど錚々たる顔ぶれが並ぶ。
超一流プロたちが認めたその性能を体感するべく、今回はPXGの「0811 ドライバー」を試打した。「0811」は、このドライバーの素材であるチタン合金「Ti 8-1-1」からきている。
特徴はなんといっても、ソール部に配置された16個のウェートだ。見た目にもインパクトがあるが、これにより重心を調整することができて、理想の弾道が手に入るという。そんな気になるドライバーを、編集部M(ヘッドスピード40m/s、球筋フック)が早速試打!
理想を最大限に具現化してくれるドライバー
ますは顔からチェックだ。
ヘッド体積が460ccあり、シャローバック形状になっているため投影面積は大きい。形状的には若干面長に感じる。上級者好みの「洋ナシ型」に分類できるだろう。ピンの「Gドライバー」の顔つきにも似ている。
このドライバーのライ角は58度。最近のドライバーのライ角平均値は約60度とアップライトなものが多い中、フラットな設計となっている。それだけ、左へのミスは怖くないというわけだ。またクラウン部分は艶消しでマットブラックに仕上がっている。この辺は好みではあるが、個人的には、“顔が締まる”感じがして好きだ。光の反射も抑えてくれるのもうれしい。では、打ってみよう。
パーン‼
弾き感が凄い! PGAツアーのトッププロたちが使っているドライバーだから、勝手に喰いつくような打感をイメージしていたが、まったく逆。インパクトした瞬間に球が飛び出す「球離れの早さ」、「打音」は高反発ドライバーを思わせるほどの弾きの良さ。
そして、左へ行かない。アドレスの時の予想以上だ。決してつかまりが悪いわけではなく、強く叩いたときに引っかけることがないということ。フェード系の強い弾道で飛んでいってくれる。飛んでいく球の印象は“ライナー”系だ。
スウィートエリアが広いのも、このドライバーの特徴。多少のミスヒットでも、飛距離のロスは少ない。またシャローバックの見た目通り、球もしっかり上げてくれる。「低重心かつ深重心」のヘッド設計だということが窺い知れる。
このドライバー最大の特徴は、調整機能にある。ソール部の16個のウェートを組み合わせることにより理想の弾道で飛ばすことができるんだ。イメージ的には、重心距離を変化させ、「ヘッドの返しやすさ」を調整するといったところか。ロフト調整も+‐1.5度までできる。
最近のドライバーは、調整機能がついているものが多く、弾道を変えられることは珍しいことではない。しかし、ここまで弾道を“微調整”できるドライバーはまれである。派手なデザインに目を奪われがちだが、それは細かな調整機能を施した結果であって、性能の高さを象徴している。
PGAのトッププレーヤーが使っているクラブなので当然ではあるが、「やさしさ」という点からすると、このクラブよりもミスに強いものはあるだろう。しかし、これほど自分の理想を具現化してくれるドライバーは他にはない。上級者に限らず、弾道にこだわるゴルファーはぜひ使ってほしい。