「ヘッドスピード平均55m/s以上」が世界のトップクラス
2015-2016シーズンの「ヘッドスピードランキング」のデータを見ると、いちばん速いのはアンドリュー・ループで、平均ヘッドスピードは56.3m/s。日本人の平均的男性ゴルファーのヘッドスピードが大体40〜42m/sといわれるので、そのスピードの凄さもわかろうというもの。
続いて2位ゲーリー・ウッドランド(55.78m/s)、3位ジョナサン・ベガス(55.41m/s)、4位トニー・フィナウ(55.29m/s)、5位ハドソン・スワッフォード(55.29m/s)となっている。ここまでの選手が平均で55m/s以上のヘッドスピードを記録。
このランキングを見て違和感を感じた人はツアー通。そう、このランキング、微妙に「平均飛距離ランキング」とリンクしていないのだ。平均飛距離ランキングに照らし合わせると、ループは5位。ウッドランドが10位。以下、ベガス14位、フィナウ3位、スワッフォード7位となる。一言でいって「ヘッドスピードの割に飛ばしていない」という仮説が立つ。
平均飛距離28位・ガルシアはヘッドスピードでは6位。
それを顕著に示すのが、平均ヘッドスピード54.91m/sでランキングで6位(ちょっと意外だ)にランクしているセルヒオ・ガルシア。ガルシアは平均飛距離ランキングでは28位(299.9ヤード)で、データ上はヘッドスピードの速さを飛距離に生かしていないということになる。
飛ばし屋に必要なのは「ヘッドスピード」より「効率の良さ」
飛ばし屋として知られている選手を見てみると、平均飛距離2位のダスティン・ジョンソンが54.73m/sで8位、バッバワトソンが54.37m/sで10位(平均飛距離4位)、ローリー・マキロイが53.57m/sで16位(平均飛距離9位)となっている。当然上位にランクされているが、ヘッドスピードランキングより平均飛距離ランキングの方が上回っている。
先のガルシアとは逆に“効率よく”飛ばしているとも言える。ちなみに平均飛距離1位のJ.B.ホームズは、ヘッドスピードでは11位(54.16m/s)だ。つまり、PGAツアーの飛ばし屋たちの共通点は「効率の良さ」にあるというわけだ。
松山はマキロイやダスティンより“効率よく”飛ばしていた!?
ならば、気になるのは「誰が一番効率がいいのか」だろう。試しに今回名前が出てきた選手にリッキー・ファウラーやアダム・スコットなど有名選手、さらには松山英樹、岩田寛の日本人2選手を加えて、平均飛距離をヘッドスピードで割った値を出してみた。つまりこの値が高いほど“効率よく”飛ばしている、というわけだ。
その結果は、驚くべきものとなった。なんと、松山英樹が「もっとも効率が良い」という結果となったのだ。
平均飛距離をヘッドスピードで割ったランキングが以下の通り。
1:【5.83】松山英樹(294.5/50.44)
2:【5.81】J.B.ホームズ(314.5/54.16)
3:【5.76】ダスティン・ジョンソン(315.2/54.73)
4:【5.73】ローリー・マキロイ(306.8/53.57)
4:【5.73】リッキー・ファウラー(301.6/52.62)
見ての通り、ヘッドスピードランキング上位選手は、一人もランクインしておらず、逆に、平均飛距離ランキング上位者が上位を占める結果となった。その中で松山がトップになったということは、それだけ松山英樹が効率よく飛ばしているという証拠と言えそうだ。
PGAツアーの選手全員を調べたわけではないので「PGAツアーNO.1」とは厳密には言えないが、ツアー屈指の効率の良さを持つことには間違いがない。松山の強さの秘密が、また一つ解明された……かもしれない。