「カッコいい見た目で打つとやさしい系アイアン」の最新型
一昔前、アマチュア向けのクラブとプロ向けのクラブはまったく違うものだった。アマチュア向けはトップブレードが厚く、キャビティが深く、ソールは広いものであり、プロ向けはその逆だった。要するに、アマチュア向けは大きく、プロ向けのアイアンは小さかった。
ところがこの傾向が徐々に崩れ始め、昨今ではプロ向けに近いルックスでアマチュア向けの機能を併せ持つような“新種”アイアンも多数登場している。ピンが発表した「i200」アイアンもそのうちのひとつと言えそうなアイアンだ。
構えた見た目はキャビティというよりもブレードアイアンに近い。そして、その見た目通り、このアイアンの一番の「ウリ」は飛距離でもなければやさしさでもなく、「打感の柔らかさ」だ。実際に試打してみても、その打感の柔らかさは存分に感じられる。
そして、アイアンの打感をよくしようと思ったらフェース面を厚くするのが基本だが、同モデルは逆にフェース面を薄くしているという。フェースを薄くすれば弾きは良くなるが打感は通常硬くなる。ではなぜ打感を柔らかく感じられるかといえば、その秘密はバックフェースに搭載された大型エラストマー(弾性ゴム素材)にある。これにより、薄いフェースにも関わらず、柔らかい打感を実現しているのだそうだ。
難しそうで難しくない少しやさしいアイアン
見た目はシャープだが、スウィートスポットは広く、打感は柔らかい。5番アイアンで26度と、現代の基準に照らせば「寝ている」ロフトも、使いやすさにつながりそうな予感がする(同社のiブレードと比べると、5番は1度“立っている”)。契約プロの上原彩子いわく、「打ちたい時に、高い球と低い球が打てる」ということで、コントロール性能も高そうだ。
実際に打ってみて(NSプロ950GHのSシャフト装着モデルを試打)どうかといえば、まず感じるのは打感の良さと同時にやさしさ。バックフェースのデザインはシャープな印象だが、構えてみるとトウ側には意外にボリュームがあり、スウィートスポットの広さを感じる。そのボリュームが、構えてみると気にならない(視界に入らない)のもお見事。
「トップブレードが厚すぎず狭すぎず、絶妙な厚さですね。同社のiブレードに比べると一回り大きくて、その分だけやさしいイメージです。僕はマッスルバックの7番アイアンで飛距離が160ヤードほどですが、このクラブだと約170ヤードと、飛距離も出ます」とコメントしてくれたのは発表会に居合わせた今野一哉プロ。
今野プロによれば、上級者ならばユーティリティ代わりにロングアイアンだけこのモデルを組み合わせるのも面白いという。実際、3番アイアンで約240ヤードのショットを連発し、「これ、アリかも……」とつぶやいていた。
ピンの製品というと、とにかく機能を追求したいかにもアメリカンなイメージだが、このアイアンに関しては「やさしければいい、飛べばいい」だけではない、「打感や顔の良さこそ至高」とする和のテイストを感じる。
素材は 431ステンレススチール。8番アイアンでバウンス角10度と、バウンス角が大きいのも特徴。メーカーの説明によれば、大きいバウンスと疎水性の高い仕上げにより、雨の日のゴルフでもスピンが減らないそうだ。このあたり、プロユースを想定していることがうかがえる。実際に、契約女子プロの使用が想定されているとのこと。シャフトはNSプロ950GHの他に、NSプロモーダス3ツアー105と120、ダイナミックゴールドS200、それにカーボンシャフトがラインナップされている。
プロ向けの「小さいアイアン」とアマ向けの「大きいアイアン」のちょうど中間に位置する「ちょうどいいアイアン」というジャンル。そこに、新たなピースが加わった。2017年3月の発売予定とのこと。