2017年1月16日キャロウェイから新しいドライバーが発表された。その名は「GBB EPIC(エピック)」。GBBと聞いて思い出すのは2016年に松山英樹が使用して世界中で勝利を重ねたことで大いに注目されたドライバー「グレートビッグバーサ」。その後継機かつ、石川遼やロリー・マキロイも使用を開始したとあって今後さらに注目を集めそうなこのクラブ、まずはじっくり眺めてみよう。

ウリは「ジェイル ブレイク(脱獄)テクノロジー」

画像: カップフェースの内部に2本のチタンのバーがある。このフェースの構造だけで、現在11件の特許を申請中だとか

カップフェースの内部に2本のチタンのバーがある。このフェースの構造だけで、現在11件の特許を申請中だとか

まるで“檻”のように、2本のバーがカップフェース内部に設置されているのが今モデルの最大の特徴である「ジェイル ブレイク テクノロジー」。これによりヘッドのたわみをコントロールし、最大限の反発が得られるという。

ジェイルブレイクという言葉には、このバーのデザインの説明だけでなく、反発性能の規制そのものを「牢屋」にたとえ、そこからテクノロジーにより「脱獄」するという意図もありそうだ。

「エピックは、ベター、ベストよりもさらに上、桁外れでとてつもない、という意味があります。」と語るのはキャロウェイゴルフの倉島隆夫氏。では、何がとてつもないのか?

画像: 発表会の模様。フェースのすぐ後ろにある2本の柱が、「ジェイルブレークテクノロジー」

発表会の模様。フェースのすぐ後ろにある2本の柱が、「ジェイルブレークテクノロジー」

「まずはジェイルブレークテクノロジーから説明しましょう。フェースの裏側にあるクラウンとソールをつなぐ一体成型の2本の柱です。従来のドライバーは、インパクトの際にクラウンとソールがたわみ、エネルギーが逃れてしまっていました。それに対して今回のEPICは、クラウンとソールをバーが支えているため、たわみが最小限に抑えられ、結果的にフェースのたわみが大きくなって、ボールスピードを最大化できるんです。イメージ的にはトランポリン。トランポリンでは、枠の部分をしっかり固定したほうが反発が上がりますよね。それと同じことなんです」(倉島氏)

画像: 2本の柱の効果により「余計なたわみ」がなくなるという説明だ

2本の柱の効果により「余計なたわみ」がなくなるという説明だ

「球を押せる感覚がある」と表現するのは記者発表に登場した契約プロの上田桃子。「バイーン、と、まさにトランポリンというイメージでボールが飛んでいきました。最近のドライバーは、ボール初速が速いとその分フェースの球離れも早くなってしまうのですが、このクラブはしっかりとボールがフェースに食いついて、その後飛んでいく感じがします」(上田)

画像: 上田桃子が記者発表会場で打ったデータがこちら。「普段58〜59m/sのボール初速が『61.8』まで伸びました」

上田桃子が記者発表会場で打ったデータがこちら。「普段58〜59m/sのボール初速が『61.8』まで伸びました」

「GBB EPICスター」「GBB EPICサブゼロ」の2モデル

このGBB EPICには「スター」と「サブゼロ」の2モデルがラインナップされている。それぞれどのような特徴があるのか、まずは「スター」から見てみよう。こちらはヘッド全体を軽量化して、よりスピードをアップさせたというアジア向けモデル。ヘッドサイズは460CCで、純正Sシャフト装着時の長さが45.75インチ。重さは293グラムとなっている。

画像: こちらがGBB EPICスター。ソール後方にはスライド式のウェートがある

こちらがGBB EPICスター。ソール後方にはスライド式のウェートがある

パッと見てわかるのは、ソール後部にあるスライド式ウェート。松山英樹使用の前モデルにも搭載されていた機能だ(前作は非常につかまりの良いモデルであったことから、松山はウェートをトウ側に移動して使用しているという)。

つかまりをコントロールできるということとともに、バックフェースの最後部にウェートが設置されていることで、重心の深さ=ミスヒットへの強さ、球の上がりやすさも予感される。

今回のモデルではヘッドのカーボン部分が前作からさらに増え(クラウンはなんと10グラムを切っているとか)、カーボンはチタンに比べて軽いため、このウェートの効果がさらに大きく出やすくなったという。

画像: 構えたときの「顔」がこちら。後方に長い扁平な丸型で、安心感がある

構えたときの「顔」がこちら。後方に長い扁平な丸型で、安心感がある

構えてみるとよくわかるが、キャロウェイのドライバーらしくホーゼルが短い。そして、ホーゼルに調整機能が「ない」。調整機能があると、シャフト交換が容易だったり、フェースアングル、ロフトなどが調整できるといったメリットがある反面、その部分に重量が集まりやすく、重心位置が高くなりやすいというデメリットもある。実際、もう一本のサブゼロと比べ『スター』はヘッド重量が軽く、その分ヘッドスピードアップが期待できるという(総重量で、スターのほうがサブゼロより13グラム軽い)。

重心が「浅くて・低い」ぶっ飛びモデル。それがサブゼロ

もうひとつ、「GBB EPICサブゼロ」も見てみよう。こちらは石川遼、ロリー・マキロイらがすでに使用を開始しているモデル(発表会に参加した上田桃子は現在テスト中だが、このドライバーでシーズンを戦う予定だという)。つまりやや“プロ向け”の性能を持つクラブということになる。こちらは低重心モデルなのだが、ヘッドサイズは460CCで、慣性モーメントも大きいため、必ずしも「プロ専用」というわけではないそうだ。純正Sシャフト装着時の長さは45インチ。重さは306グラムだ。

画像1: 重心が「浅くて・低い」ぶっ飛びモデル。それがサブゼロ

「スター」と比べたときに一目でわかるのは、ソール後部にスライド式のウェートが“ない”こと、そしてホーゼルに調整が“ある”ことだ。

画像2: 重心が「浅くて・低い」ぶっ飛びモデル。それがサブゼロ

サブゼロは、スターに比べて重心が浅くて低い。重心が浅いと、その分インパクトでロフトが寝る動きが少なくなり、その分だけ低スピンで強い弾道が打ちやすくなる。重心が低いメリットは前述した通りだ。つまり、サブゼロのほうが低スピン性能は高そう。

発表会会場でこのクラブをデモンストレーションで試打した上田桃子は、普段58〜59m/sのボール初速が61.8m/sまでアップ。高反発規制以降、もっとも上げるのが難しいのがボール初速。それが本当にアップするならば、それは歓迎すべきことだろう。

画像: 石川遼はこちらの「サブゼロ」を使用。やはり「ボール初速が上がった」という

石川遼はこちらの「サブゼロ」を使用。やはり「ボール初速が上がった」という

ホーゼルに調整機能が付けられているのも、細かい見た目にこだわる中上級者にはありがたい。

画像: (左が『スター』右が『サブゼロ』)

(左が『スター』右が『サブゼロ』)

前述した通り、今回の2モデルを比べるとホーゼルに調整機能がある「サブゼロ」のほうが重心が低い。なぜだろう? と並べてみたら一目瞭然で、「スター」のほうがハイバック(クラウン後部が高い)形状となっていた。このあたりの形状の違いが弾道にどう影響するかは、実際に打ってたしかめたいところだ。

画像: 写真上が「スター」、下が「サブゼロ」。形状からは、スターは安定したスピン、サブゼロは低スピン性能が見てとれる

写真上が「スター」、下が「サブゼロ」。形状からは、スターは安定したスピン、サブゼロは低スピン性能が見てとれる

前モデルは松山が使用したことで爆発的に売れ、市場から姿を消した。そんな中登場した新モデル、果たして2017年の“台風の目”的クラブとなるのかどうか、今後も注目していきたい。2月17日発売予定。価格は1本7万5000円(税別)〜。

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