ウリは「ジェイル ブレイク(脱獄)テクノロジー」
まるで“檻”のように、2本のバーがカップフェース内部に設置されているのが今モデルの最大の特徴である「ジェイル ブレイク テクノロジー」。これによりヘッドのたわみをコントロールし、最大限の反発が得られるという。
ジェイルブレイクという言葉には、このバーのデザインの説明だけでなく、反発性能の規制そのものを「牢屋」にたとえ、そこからテクノロジーにより「脱獄」するという意図もありそうだ。
「エピックは、ベター、ベストよりもさらに上、桁外れでとてつもない、という意味があります。」と語るのはキャロウェイゴルフの倉島隆夫氏。では、何がとてつもないのか?
「まずはジェイルブレークテクノロジーから説明しましょう。フェースの裏側にあるクラウンとソールをつなぐ一体成型の2本の柱です。従来のドライバーは、インパクトの際にクラウンとソールがたわみ、エネルギーが逃れてしまっていました。それに対して今回のEPICは、クラウンとソールをバーが支えているため、たわみが最小限に抑えられ、結果的にフェースのたわみが大きくなって、ボールスピードを最大化できるんです。イメージ的にはトランポリン。トランポリンでは、枠の部分をしっかり固定したほうが反発が上がりますよね。それと同じことなんです」(倉島氏)
「球を押せる感覚がある」と表現するのは記者発表に登場した契約プロの上田桃子。「バイーン、と、まさにトランポリンというイメージでボールが飛んでいきました。最近のドライバーは、ボール初速が速いとその分フェースの球離れも早くなってしまうのですが、このクラブはしっかりとボールがフェースに食いついて、その後飛んでいく感じがします」(上田)
「GBB EPICスター」「GBB EPICサブゼロ」の2モデル
このGBB EPICには「スター」と「サブゼロ」の2モデルがラインナップされている。それぞれどのような特徴があるのか、まずは「スター」から見てみよう。こちらはヘッド全体を軽量化して、よりスピードをアップさせたというアジア向けモデル。ヘッドサイズは460CCで、純正Sシャフト装着時の長さが45.75インチ。重さは293グラムとなっている。
パッと見てわかるのは、ソール後部にあるスライド式ウェート。松山英樹使用の前モデルにも搭載されていた機能だ(前作は非常につかまりの良いモデルであったことから、松山はウェートをトウ側に移動して使用しているという)。
つかまりをコントロールできるということとともに、バックフェースの最後部にウェートが設置されていることで、重心の深さ=ミスヒットへの強さ、球の上がりやすさも予感される。
今回のモデルではヘッドのカーボン部分が前作からさらに増え(クラウンはなんと10グラムを切っているとか)、カーボンはチタンに比べて軽いため、このウェートの効果がさらに大きく出やすくなったという。
構えてみるとよくわかるが、キャロウェイのドライバーらしくホーゼルが短い。そして、ホーゼルに調整機能が「ない」。調整機能があると、シャフト交換が容易だったり、フェースアングル、ロフトなどが調整できるといったメリットがある反面、その部分に重量が集まりやすく、重心位置が高くなりやすいというデメリットもある。実際、もう一本のサブゼロと比べ『スター』はヘッド重量が軽く、その分ヘッドスピードアップが期待できるという(総重量で、スターのほうがサブゼロより13グラム軽い)。
重心が「浅くて・低い」ぶっ飛びモデル。それがサブゼロ
もうひとつ、「GBB EPICサブゼロ」も見てみよう。こちらは石川遼、ロリー・マキロイらがすでに使用を開始しているモデル(発表会に参加した上田桃子は現在テスト中だが、このドライバーでシーズンを戦う予定だという)。つまりやや“プロ向け”の性能を持つクラブということになる。こちらは低重心モデルなのだが、ヘッドサイズは460CCで、慣性モーメントも大きいため、必ずしも「プロ専用」というわけではないそうだ。純正Sシャフト装着時の長さは45インチ。重さは306グラムだ。
「スター」と比べたときに一目でわかるのは、ソール後部にスライド式のウェートが“ない”こと、そしてホーゼルに調整が“ある”ことだ。
サブゼロは、スターに比べて重心が浅くて低い。重心が浅いと、その分インパクトでロフトが寝る動きが少なくなり、その分だけ低スピンで強い弾道が打ちやすくなる。重心が低いメリットは前述した通りだ。つまり、サブゼロのほうが低スピン性能は高そう。
発表会会場でこのクラブをデモンストレーションで試打した上田桃子は、普段58〜59m/sのボール初速が61.8m/sまでアップ。高反発規制以降、もっとも上げるのが難しいのがボール初速。それが本当にアップするならば、それは歓迎すべきことだろう。
ホーゼルに調整機能が付けられているのも、細かい見た目にこだわる中上級者にはありがたい。
前述した通り、今回の2モデルを比べるとホーゼルに調整機能がある「サブゼロ」のほうが重心が低い。なぜだろう? と並べてみたら一目瞭然で、「スター」のほうがハイバック(クラウン後部が高い)形状となっていた。このあたりの形状の違いが弾道にどう影響するかは、実際に打ってたしかめたいところだ。
前モデルは松山が使用したことで爆発的に売れ、市場から姿を消した。そんな中登場した新モデル、果たして2017年の“台風の目”的クラブとなるのかどうか、今後も注目していきたい。2月17日発売予定。価格は1本7万5000円(税別)〜。