雲行き怪しいタイガーと連覇に向けて好調な松山
過去1度も予選落ちのないオメガ・ドバイ・デザート・クラシック初日、タイガーは出場132人中、暫定121位(日没サスペンデッドだったため)という最悪の滑り出しだった。ノーバーディ、5ボギーの77は自身大会ワーストスコア。復帰戦に選んだ得意のトーリーパインズ(ファーマーズ・インシュランス・オープン)でも予選落ちだったが、2週連続決勝ラウンドに進めない可能性が高くなった。
一方、松山は連覇がかかるウェイスト・マネージメント・フェニックス・オープンで出場132人中2位タイ発進と期待通りのプレーを披露。
米ツアーデビュー以来フェニックスでトップ4を外したことがなく、昨年はリッキー・ファウラーをプレーオフで下し優勝している松山にインタビュアーが「なぜそんなに相性が良いのか?」と尋ねると彼は「その理由がわかったら教えて欲しい」と破顔一笑。理由はわからないけれどショット、パットが噛み合ってしまう。それが現実。ところがタイガーには真逆なことが起こっている。
「上がり2ホールのティショットに違和感があった。腰痛? そうじゃなくて何かが違ったんだ。その“何か”を探さなければならない。 ヒーロー・ワールド・チャレンジですごく良かった感触が消えている。わからない何かを追求しなければ」(タイガー)
タイガーは完全復活できるか?
たったひとつのショットが奈落の底の入口になることがある。ミスの原因が何なのか、ゴルファーは血眼になって答えを探す。逆にたったひとつのショットが噛み合ったことですべてが好転することもある。
日頃圧倒的な練習量を誇るプロたちのスウィングは形状記憶の域に達している。本番には形状記憶した状態で挑むのだが、体調や精神状態によって記憶したはずの動きが微妙に狂い始める。しかし良しにつけ悪しきにつけ本人にその理由は掴みにくい。だから「わかるなら教えて」という心境になる。
現在タイガーも松山も特定のコーチをつけず自らがスウィング構築を行っている。「調子が悪いときも、良いプレーができるようにしたい」という松山は、昨年のメジャーで「調子が悪くないのにスコアが作れず予選落ちした」苦い教訓から、自分のスウィングへの理解度を深めるべく日々努力を続けている。
誰にだって好不調の波はある。だが超一流といわれる人たちはその波を小さくする術を知っている。松山はその域に入りつつあるのか? そしてタイガーはこのまま全盛期の輝きを失ってしまうのだろうか?
「タイガーには1年の猶予をあげて欲しい。ブランクが長かったからね」というのはファーマーズ・インシュランス・オープンでタイガーと同組でプレーしたダスティン・ジョンソン。ジョーダン・スピースも「まだまだこれからでしょ」と楽観的な展望を示すが、果たして今後の展開は?