年々賞金額がアップし今や米男子ツアーで1勝すると1億円は下らない。 目下(2017年3月17日現在)賞金ランク1位の松山英樹はすでに今シーズン約450万ドル、すなわち5億円近くを稼いでいる。しかし松山のようなエリートはごくわずか。転戦するための経費も捻出できないプロたちが大勢いる。果たして彼らの実態とは?

D・ジョンソンの稼いだ額は約4億円以上

画像: 今シーズンはすでに2勝を挙げているD・ジョンソン

今シーズンはすでに2勝を挙げているD・ジョンソン

現在世界ランク1位のダスティン・ジョンソンは今シーズン、松山には及ばないもののすでに368万ドル強(約4億円)を稼いでいる。ちなみに彼の昨シーズンの獲得賞金はおよそ930万ドル。10億円以上を稼げば、少なくてもその倍、いやそれ以上のスポンサー収入があることは間違いない。

フィアンセは元アイスホッケーの花形選手の娘でモデルのポーリーナさん。彼女は先ごろインスタグラムでジョンソンとの間に第2子を妊娠中であることを公表しており、絵に描いたような“セレブ夫婦”である。

ジョンソンと同級生の開きすぎた格差

しかし現実は甘くない。アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNの電子版が、ジョンソンと大学時代ゴルフ部でチームメイトだった人物を取材。ゴルフ界の光と影を紹介している。

記事によるとジョンソンと同じコスタル・キャロライナ大学に通い、ともにプロの道を選んだザック・バードは現在、南アフリカのサンシャインツアーでいわゆる“ドサ回り”中。

画像: Zack Byrd on Twitter twitter.com

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大学時代は将来を嘱望される存在で、バードがマークした同校の大学最少ストローク記録は未だ破られていない。ところがプロに転向するとジョンソンはデビューイヤーからツアー優勝を挙げスター街道まっしぐら。ジャック・ニクラス、タイガー・ウッズに続き史上3人目の10年連続優勝を挙げ、ついには世界ナンバー1の座を射止めた。

画像: 2017年WGCメキシコ選手権で世界ランク1位として初めてトロフィーを掲げた

2017年WGCメキシコ選手権で世界ランク1位として初めてトロフィーを掲げた

一方、鳴かず飛ばずのバードがPGAツアー参戦を果たしたのは予選会を勝ち抜いて出場した2011年の全米オープンくらい。あとは下部ツアー(ウェブドットコムツアー)に出られれば良いほうで、戦う場を求めカナダや南米の試合に足を伸ばしたことも。

彼らのようなゴルファーが頭を悩ませるのは経費のことだ。野球ならマイナーリーグの選手でも旅費や食事はチーム持ち。だから基本経費はかからない。だがゴルフはすべてが選手個人持ち。往復の交通費、キャディフィ、エントリーフィ、宿泊代、食費など、少なくとも1週間で3千ドル(約35万円)は必要といわれている。だが4日間戦った挙句賞金が経費を下回る、つまり足が出るケースは珍しくない。

ある選手はいう。「ゴルフはすべて逆さまなんだ。賞金を稼げば稼ぐほど経費はかからない。試合側の招待で経費はすべて払ってもらえるし、専用の車だってホテルだって用意されてる。でも無名のラビットたちはすべて自腹で試合に臨まなきゃならない。稼ぐ人間がノーリスクで、稼げない人間はリスクを背負う世界なんだ」

「この10年、1日も安心して眠れた日がないよ」(バード)

バードは現在「賞金は低いけれどエントリーフィーもホテル代も安いから」という理由でサンシャインツアーを主戦場にしている。

「どんな気分か、って? 毎日ギャンブルしているようなもんだよ。この10年、1日も安心して眠れたことはない。 のるかそるか。今週こそ稼げると思っても予選落ちを繰り返す。厳しい世界だよ」

彼には妻子がある。将来を考え、世界中を転戦した経験から旅行代理店への転身も考えているそうだ。1年に何十億も稼ぐスターもいれば、経費さえ賄えない日陰の存在も多い。日陰の存在があるからスターが輝くということか。松山の凄さを改めて実感させられる話題ではある。

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