佐藤信人が見た‟オーガスタ”
2017年マスターズは、週刊ゴルフダイジェストの連載「うの目、たかの目、さとうの目」でもおなじみの、佐藤信人プロとともに取材をしている。ここで、佐藤プロからみたオーガスタの様子をお伝えしよう。
バックナインのスタート10番は、打ち下ろしの左ドッグレッグホールである。
強烈なフックボールが要求されるこのホールでは、2011年大会で初優勝に向けてひた走っていたローリー・マキロイがチーピンで左の林に打ち込み、その後の大崩れの一因をつくった。2012年のバッバ・ワトソンは、プレーオフの2ホール目でティショットを右に曲げて林に入れるも、ものすごいフックボール(レフティ)を打ちグリーンオン。パーパットを決めて優勝した。
このホールを歩きながら指差し確認をする佐藤の指の先には、それらのショットの“メモリアルポイント”があった。「あそこは、マキロイの、ここはバッバの例の場所だ……」と林に入っていくと、すでに多くの“先客”が。
皆、左打ちで木と木の間を抜くショットをイメージして素振りしている。「こんなに多くの人が、印もないのにバッバの場所を知っている。こういう感じが、ここのギャラリーのゴルフ度の高さですよ」と嬉しそうに、自身も真似をして「お、まあまあのショット。乗ったな」とつぶやくのであった。
「優勝はスピース、マキロイ、松山のどれか」(佐藤)
ここまで、今年の優勝予想を聞いても「ジョーダン・スピース。最近はどの試合も聞かれたらすべてスピースにしている」だの「いやー皆優勝しそう。10人選んでもいい?……あ、世界ランクの上位10人選んじゃった(笑)」だの、のらりくらりと明確な答えをかわしてきた佐藤。組み合わせも決まったし、はっきりしてください! ということで選んだのがコレ。
「スピース」か「ローリー・マキロイ」か「松山英樹」。「やっぱり強い気がする。頑張ってほしいから」と、結局明確な理由は言わぬまま……。
「明日(初日)と明後日(2日目)はとにかく風が強く、荒れ模様なのがポイント。木曜日は西風で風速20~30マイル(最大30~40マイル)、金曜日は西北西の風で風速15~20マイル(最大25~30マイル)の風が吹く。ここはそれで全然違うコースになる」
「マキロイは、厳しい天候の中でのメジャー優勝はしてないし、風は好きではないようだから予選に注意……それと、対抗は……ブランデン・グレースが風には強いけど球が低いかなあ」
「ブラント・スネデカーは過去優勝したときとんでもない強風で彼だけ崩れなかった。風が強いときはパットがいちばん難しい。ぽんぽんとリズムよく打つ人のほうがいい……でもジェイソン・デイも、心底心配していたお母さんが化学療法はいらないとなると集中力が増してるはず。豪州の人も風に強いし……」
「でもダスティン・ジョンソンはやっぱり総合力が一番かも、と思ってたら階段から落ちるという事件が……若手ラームも昇り竜で自信や技術もあるから可能性はある。ほんと、わからんです」
と、結局決まらないまま本番に突入だ!
マスターの中から佐藤プロが選んだ‟かっこいいゴルファーベスト3”
優勝予想が決まらなかったので(とはいえ、細かい解説はしてくれたんですよ! そのへんはまたの機会に)、ここは別の観点から「ベスト3」を決めようと、佐藤が思う「今回出場している選手のなかで、かっこいいゴルファー」は誰かを聞いた。
回答までに数十分かかるも、1位はマーティン・カイマー。「顔がかっこいいし、憂いのある感じがいい……あとは顔がかっこいい。2回言ったね(笑)」
2位はアンヘル・カブレラ。「マフィアのようで、たぶん大地震が来ても慌てなそうなところがいい。のしのし歩きながら腹のすわった感じ」。
3位はベルンハルト・ランガー。「若いときからいちばん憧れの人」とのこと。「あまり感情を感じさせない、冷静な感じが好きです。しかし僕、ドイツ人が好きなんだなあ」
こんな変な質問にも真剣に答えてくれるところが、佐藤プロの魅力なんです!(つづく)
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