2017年のマスターズは初日が終了し、チャーリー・ホフマンが7アンダーで首位に立った。週刊ゴルフダイジェスト編集部員による現地レポートの第七回は、プロゴルファー・佐藤信人が波乱の幕開けとなった初日の様子をお届け!

サプライズの連続だったマスターズ初日

世界ランク1位のダスティン・ジョンソンが、試合前日に宿舎の階段から滑って落ち、腰などを強打、練習場には姿を見せたものの、1番ホールに来たとき「ギブアップ」宣言。目下すべてのプレーにスキがない絶好調な飛ばし屋が、このオーガスタをどう攻略するか楽しみにしていたパトロンたちはため息をついた。

「さすが何かやってくれますね、D・ジョンソン。メジャーでの事件率ナンバーワン。ここで見られないのは残念でしたが。今日(初日)は予報どおり、いやそれ以上の強風。選手たちはさまざまな判断を要求されました。それにしても、咲いてないツツジ、56年ぶりにキャンセルになったパー3コンテスト……ありえないだらけで、私と担当編集者の相性の悪さか運のなさか。もしかしたら、スピースの15番の『9』も僕のせいかも。ホフマンがトップに立ったのも……」(佐藤、以下同)

画像: ホフマンのバック9、ストレートフラッシュのようなスコアが並ぶ

ホフマンのバック9、ストレートフラッシュのようなスコアが並ぶ

ジョーダン・スピースは、昨年の悪夢から続く12番パー3を無難に「パー」で終えたものの、15番のパー5で、3打目を池ポチャ、打ち直しの5打目はグリーン奥にいき、そこから寄せきれず3パットの「9」。ホールは違えどなんとなくデジャブ感が……しかしまだ「+3」。巻き返しは十分可能だ。そして、初日の風で驚異の9バーディを出したチャーリー・ホフマン、40歳。佐藤は言う。

「じつは、昨日(練習日)は言えませんでしたが、彼は風のなかのプレーがめちゃくちゃ上手。スピンコントロールが熟練のワザなんです。今回テキサスオープン優勝の資格で出場していますが、この試合は風が強いことで有名。いつも上位にいますし、オーガスタでも2年前に優勝争いをしたり、予選落ちも一度もない。明日(2日目)も今日と同じくらい強風の予報なので、今の調子が続けば、予選は強いかも。しかし、決勝は、お天気がいいので、また変わりますよ」

松山英樹は明日以降の巻き返しに気合十分「まだまだチャンスはある」

終始ティショットが曲がっていた松山。2打目は得意のアイアンショットで、うまくグリーンに乗せる場面も多かったが、パットが決まらなかった。結果は4オーバー54位タイ。

画像: 初日はドライバーが曲がり、リカバリーのゴルフになった

初日はドライバーが曲がり、リカバリーのゴルフになった

「納得できません。でもそのなかでも後半にかけていいプレーもあった。まだまだチャンスはあると思うので、明日はやるだけ」(松山)

松山は誰もが知るスロースターター。試合後のインタビューで自分自身を厳しく責めていたが、目のなかの光は、明日のリベンジを誓っているようにみえた。

「チップインで気楽になりました」粘りに粘った池田勇太

粘りのゴルフで2オーバー(26位タイ)にとどめた池田勇太。強風のなか、前半は半袖で気合いのプレー。

画像: 勇太のショットは好調

勇太のショットは好調

「12番で最初のバーディがチップイン。これで気楽になりました。でも、再三チャンスにはつけられたし、パターを決めきれなかったので明日の課題です」(池田)

一緒に回ったホフマンが、ぶっちぎりのトップを走ることに「ホフマンがあれだけ入れたので僕の日じゃなかったのかなと。でも、みんな耐えているなか、最後まで耐えられた。明日も同じようにどんな状況になろうとも、1ホール1ホールこなして今日よりもっといいスコアを出したい」(池田)

気持ちと体が噛み合えばバーディ量産も期待できそうだ。

「考えてもしょうがない」前を向く谷原秀人

10年ぶりの出場となった谷原秀人。この10年間で成長したという球の打ち分けを確かに見せてくれるも「あれだけスライスを打ってきたので、もうひとつですかね」。もったいないバーディパットを外してもいたが、難しいパーパットも決め4オーバーに抑えたともいえる。

画像: パッティングでも風を読む谷原

パッティングでも風を読む谷原

一緒に回ったローリー・マキロイとジョン・ラームについては「低く打っても飛ぶ。うらやましいなと。マキロイも後半巻き替えるのがさすがだと思いました。風は強かったですね。今日はグリーンがやわらかかったけど、後半どんどん速くなってきて。明日は今日より風はないでしょ? あるの? でも、考えてもしょうがないので、これから帰ってご飯を食べます!」(谷原)

パットの名手としての実力を発揮できれば、きっと、決勝ラウンドが見えてくる。(つづく)

(写真/姉﨑正)

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