周りの声援が、ガルシアの気持ちを後押しした
子どものような笑顔でグリーンジャケットをかけてもらったのはセルヒオ・ガルシア、37歳。74回目のメジャー、19回目のマスターズ挑戦でようやく勝利を勝ち取った。
ガルシアは今日のスタート前のパッティング練習場で唯一練習しなかったプロだ。(一番練習していたのはスピース⁉)打つよりも、よいイメージをつくっていたように思う。
“パットが難点”と言われる彼の覚悟のようなものを感じた。そして、今日は何より8割方のパトロンが、ガルシアの応援だった。これもマッチプレーの様相を呈した最終組でガルシアの気持ちを後押ししただろう。
「15番のセカンド(イーグル)は今週のなかで一番よいショットだった」(ガルシア)
ここで、佐藤信人プロの話。「今、ゴルフチャンネルで言っていました。この試合はいいショットの応酬で、ベン・ホーガン対ベン・ホーガンの試合だったと。ガルシアのショット力は昔から有名ですが、今日(最終日)は圧倒的でしたね。あれだけ飛ぶ人が4日間のフェアウェイキープ率80%、パーオン率75%。たとえパットに難があろうと、ショット力でカバーしていく。見ていて気持ちいいです」(佐藤、以下同)
「周りの応援も後押ししてくれたでしょうね。すごい声援だった。遠くからも“わーっ”と聞こえるからガルシアのいいプレーってすぐわかるくらい。ちなみに僕の隣にいたアメリカのおじさんは、極端なアンチ・ガルシアで、“右に行け!”だの“もっとオーバーしろ!”だの子どもみたいなことばかり言ってましたけど(笑)」
「さっきの優勝会見は意外にあっさりしてましたよ。『今までメジャーで勝てなくても僕の人生はいい人生だから別にいいんだ』と今回も言ってましたし、今までメジャーで勝てないベストの選手だといわれたことについてどう思うか、という質問に対しては『ベストがついてるからいいじゃないか、これからはメジャー1勝だけしたベストな選手になる』と。今日のプレーで一番大きかったのは13番のパー。15番のセカンド(イーグル)も今週のなかで一番よいショットだったと」
それにしても、ローズも本当によいプレーをしていた。相乗効果で高めあった典型の最終組だった。1つ前の若手イケメン組、ジョーダン・スピース&リッキー・ファウラーが、ふたりでズルズルリズムを崩していったのとは対照的だった。
今日はスペインの英雄、ガルシアとも関係が深いセベの誕生日。天国のセベのおかげで勝った……なんてことは言われたくないだろう。だって、今日のガルシアは、冷静で、集中力高く、グリーンジャケットには自らの力で袖を通したのだから!