マレット、ネオマレットなど、ヘッド重量が重い、あるいは総重量があるパター。これらのパターは上りでショートしやすく、下りではオーバーしやすいとおなじみパット研究家・濱部浩一教授は言う。それってどういうこと? 詳しく解説してもらった。

重いヘッドのパターほど「重力」が悪さをする

ヘッドバランスが重い、または、総重量が重いパターは、上りのショートパットでショートしやすく、下りではオーバーしやすくなります。なぜか? それはずばり、重ければ重いほど、重力の影響を受けるからです。図を見ながら解説しましょう。

画像: 【図1】ヘッドが重いほど、バックスウィング(B.S)が大きくなる一方で、フォローは小さくなりやすい

【図1】ヘッドが重いほど、バックスウィング(B.S)が大きくなる一方で、フォローは小さくなりやすい

上りのパットをする際に、ヘッドやパターそのものが「重い」場合、図のように重力の関係でバックスイング(B.S)が普段より自然と大きくなるのですが、慣性モーメントの影響から動き出したヘッドを止めることも難しく、切り返しでも普段より大きな力を必要とします。

何より、ダウンスイングからフォロースルー(F.T)は重力に反してヘッドやパターを動かすことになるので、自然とストロークが減速気味となり、フォローも出にくくなります。

だから重いヘッドバランス、総重量が重いパターは上りでショートしやすくなるわけです。

下り傾斜では、ダウンスウィングでヘッドが必要以上に加速してしまう

下り傾斜は全くの逆で、バックスイングが引きにくくなり、これはまあいいとしてもダウンスイングでヘッドが必要以上に加速してしまうので、フォロースルーが自然と大きくなります。

画像: 【図2】下りのパターはダウンスウィングで必要以上い加速し、フォロースルー(F.T)が大きくなりやすい

【図2】下りのパターはダウンスウィングで必要以上い加速し、フォロースルー(F.T)が大きくなりやすい

だから重いヘッドバランス、総重量が重いパターは下りでオーバーしやすくなるんです。

この重力から受ける影響を知ったうえでストロークするのと知らないでストロークするのとでは大きな違いがあります。

マレットやネオマレットは、ブレードタイプのパターよりヘッド重量や総重量が重いので、平地においてもフォロースルーでヘッドが出にくいデメリットがありますが上りだとそれが平地より大きく出て、ヘッドの加速感が出にくくなり、下りだと逆に自然とヘッドが加速してしまうので、これらがジワジワと自身のセンサーを狂わし、タッチが合わなくなるのです。

この重力の影響はほんのわずかなのですが、確実にあります。また、元々の立ち方、構え方が右足体重か、左足体重かによってもその影響に差が出ます。

ただし、10ヤード以上のロングパットでは全体としてストロークが大きくなるので重力の影響は相殺されます。2ヤード前後の距離はストロークが小さいため、重力の影響を大きく受けます。また、二段グリーンの下からなどで傾斜が3度以上のきつい場合は自然と右肩下がりの構えとなり、重力の影響が大きく出て、上りでショート、下りでオーバーしやすくなるのも覚えておいて損はありません。

マレット・ネオマレットは軸足がカギ

ではどうすればいいか。対処方法をよくある上り傾斜2度程度の2ヤードのショートパットを例に解説しましょう。

まずは左足体重にし、傾斜は無視して地球に対して垂直に立つイメージでアドレスします。テークバックも傾斜に沿って引くのではなく、傾斜は無視して、地球に対して水平、あるいは少しだけ上方に引いてあげましょう。

そうすると、重力の影響が収まり、ダウンスウィングでヘッドがスムーズに出てフォローで減速しません(【図1】青ラインの軌道)。ただ、やりすぎると上から打ち込むようになりボールが弾んでしまいますので、あくまでボールの伸びとヘッドの動きを感じながらトライしてみてください。

下りは逆に右足体重気味にするとフォローの加速を抑えられますが、テークバックでダフらないように気を付ける必要があります。また、下りで打ちすぎない方法としては、以前記載した1㎝テークバックの方法がありますので参照してください。

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