大切なのは「逆目か順目か」の判断だ
ラフからのアプローチは、予想外のミスが出るし、飛んだり飛ばなかったり距離感も難しい。どうすれば上手く寄るのだろうか?
「まずはライをよく確認して、どんなミスが出やすいのかをしっかり把握することが大事ですよ」と話すのは、小技に定評のある伊藤涼太プロだ。
「ラフの場合、芝質やボールの沈み方、そして芝目によって、出るミスも距離感もガラッと変わります。とくに芝目の判断は重要で、同じようなライでも逆目の場合は順目よりも難易度が上がります」
芝目は、ライを見ただけで判断できるの?
「大まかにはわかりますが、必ず素振りをしてください。素振りをすれば、クラブヘッドからたくさんの情報が伝わってきます。打ち方や距離感は、それを元に判断することが大事ですよ」
打つ前に芝目の向きを必ず素振りで確認
同じようなライでも順目と逆目では難易度が大きく変わる。ボールの沈み方にもよるが、長い芝の順目のライよりも、芝が短くても逆目のライのほうが抵抗が大きく、食われやすいので要注意だ。
ボールと同じようなライで素振りをすると、ヘッドが芝を抜けるときの感触でたくさんの情報が得られる。クラブヘッドに神経を集中させて、丁寧に素振りをしよう。「振り抜きの重さはどのくらいか」、「芝の抵抗でフェースは返りやすいか」、「芝の質は重いか軽いか」など素振りをするだけで、色々な情報を得ることができるという。
肝心な打ち方だが、逆目の場合はフェースを開いてヘッドスピードを上げて振り切ることが脱出のために必要になる。
「フェースを開いて構え、振っても球が飛ばない状態を作っておくんです。ピンが近いときほど極端にフェースを開き、絶対にゆるめないことが大事です」
その際、バンカーショットのようにボールの前後靴一足分を芝ごと打つイメージで打つのがポイント。コックを使ったり、フェースをターンさせたりせずに、体の回転で打っていこう。いずれにせよ“しっかり振る”のが大前提であることを忘れずに。
一方順目の場合は逆目よりも難易度は下がる。ダルマ落としのミスが出ないように、クラブを短く握り、振り子の要領で打っていこう。
「基本はクラブを短く持つことです。そしてボールを右足寄りに置き、少し右体重でボールを拾うように打ちます」
とにかく難しい! というイメージがある夏ラフからのアプローチも、状況を見極め、それに応じた打ち方を選択すれば決してボギー確実というわけでもないのだ。
写真/小林司
(月刊ゴルフダイジェスト2016年9月号より抜粋)