テーラーメイドの「TPコレクション ミューレン プロトタイプ」
松山がブリヂストン招待で使用したのは、テーラーメイドの「TPコレクション」シリーズのひとつ、オーソドックスなマレット形状の“ミューレン”だ。市販品にはショートスラントネックが付いているが、松山が使用したのはネックが存在しないベントネックのプロトタイプ。
ネックがないことにより、“松山プロト”は水平にバランスをとったときにフェース面が上を向くフェースバランスになっているという。フェースバランスは大型マレットパターに多いから、形状はオーソドックスながら、直進性の高い鈍感なパターと言えそう。
このパターをデザインしたテーラーメイドのビル・プライス氏に以前取材した際に語っていたのは、「TPコレクションはシェープ(形状)ファースト。あくまで伝統的なシェープを重視している。スパイダーのような、テクノロジーファーストのパターとは対極的だ」ということ。だからと言ってテクノロジーが使われていないわけではなく、フェース面上にはボールに順回転を与える“ピュアロールインサート”が配置されているため、転がりはいい。
このパターを実際に使用した経験があるみんなのゴルフダイジェスト編集部員のプロゴルファー・中村修は言う。
「そもそも松山選手は、パターを真っすぐ動かして、ヘッド軌道が最下点をすぎた後、ややアッパー気味にインパクトする選手なので、マレット型が合っています。ネックがなくてフェースバランスになっているのなら、なおさらストロークに合ったパターを選んだと言えそうです」
中村曰く、ややアッパー気味にインパクトをしたい人には重心位置の低いマレット型、ややダウンブロー気味にボールをヒットしたい人には重心位置が高いピン型のパターを選んだほうが、それぞれ転がりが良くなるという。
パターの変更に関して「入っているから、いいんじゃないですか」と現地でインタビューに答えたという松山。ブリヂストン招待の最終日にタイガー・ウッズに並ぶコースレコード「61」を叩き出した“新相棒”を手に、全米プロでのメジャー初優勝へますます視界良好だ。
(トップ写真:姉崎正)