「日本ツアーでアマチュアの時にプレーしていたような緊張感だった」
「僕が最終日にここに戻って来れたら日本のゴルフ界が変わるかもしれない」
2日目に64を出し首位タイに立った時の公式会見場でこう語っていた松山。最終日のラウンド後、松山は記者たちの前で溢れ出す涙を抑えられず、タオルで顔を覆ってうずくまっていました。
「日本の期待を背負ってプレーする松山の肩にプレッシャーが重くのしかかるだろう」
ゴルフチャンネルのコメンテーターが語っていた通り、我々の期待が上手く作用しなかったのかもしれません。でも、同組のジャスティン・トーマスを応援する鳥肌が立つほどの「JT」コールの中、松山は堂々とした戦いを見せたと思います。
「日本ツアーでアマチュアの時にプレーしていたような緊張感だった」
いつもとリズムが変わることなく、堂々としたプレーを展開しているように見えた松山ですが、やはりメジャーの重圧は感じていたようです。
「11番でバーディを狙える位置からセカンドショットをミスしたのが一番痛かった」
トップに立った重圧からか、11番のセカンドショットでグリーンを外し、短いパットも外すと12番、13番も落とし3連続ボギー。
本人がこの日一番良かったと語った11番のティショットは、軽いドローの軌道を描き完璧な球筋だっただけに本人の落胆も大きかったのだと思います。この日はショットリンクのデータから見ても、すべての部門で低調な数値となりかみ合っていませんでした。
ストロークゲインドティトゥグリーン(ショットの貢献度を示す指数):0.085(37位)
ストロークゲインドアラウンドザグリーン(グリーン周り30ヤードのアプローチの貢献度を示す指数):0.525(52位)
ストロークゲインドパッティング(パッティングの貢献度を示す指数):0.258(47位)
本人も波に乗れなかったと語るようにラウンドの流れを悪くしたのがパッティングでした。この日も序盤から短い2メートル以内のパットを右に外すシーンが見られました。5番のパーパットでは軌道がストレートになりフォローも低めに出ていたのでラウンド中に改善しているように感じましたが、メジャーのプレッシャーが少なからず技術面に影響したのかもしれません。
先週のWGCブリヂストン招待から2週間、毎日松山を見続けていましたが、プレッシャーや恐れを知らないマシンのような選手かと思っていました。雰囲気や語る言葉には堂々としたものがありますし、ブリヂストン招待の最終日には怖いくらいの集中力に驚かされました。
でも、松山も人間です。まだ25歳の青年です。まだまだ続く松山のメジャー制覇の物語に期待しましょう。