クロスハンドにして兆しが見えたパッティング
ウィンダム選手権の開幕前に入れ替え戦を見据えて戦うと語っていた石川は、初日、3日目には今季ベストスコアの4アンダー・66を出し、3日目にはパッティングの指標となる「Storokes Gaind:Putting(ストロークゲインドパッティング ※パットがスコアにどれだけ貢献したかを表す)」が出場選手中1位となるなど、次戦に向けて明るい兆しが見えた4日間となりました。
「体と腕の同調感を出すためにクロスハンドにしました」(石川)
石川は水曜日の練習日に4年ほど前からパッティングをチェックしてもらっているというパッティング・コーチ、マリウス・フィルマルタ―と相談して初日からクロスハンドグリップ(右手と左手を逆に持つグリップ)を採用することを決めました。
初日には15番で2.5メートルのイーグルパットを沈めるなど、体と腕が同調したコンパクトなストロークは非常に再現性が高く安定していました。
石川を指導するマリウス・フィルマルタ―はタイガー・ウッズやアーニー・エルスの全盛期を支えたパッティングコーチです。現在はケビン・ストリールマンなどPGAツアー選手5名ほどを指導しています。
筆者(吉田)はマリウスと5年前からの知り合いで、今年の2月にもマリウスのダラスの自宅でパッティングについて教わりました。パッティングストローク分析システムSAMパットラボを使用し、ロジカルとフィーリングの両方をバランスよく取り入れるタイプのコーチです。
マリウスいわく、「リョオとはディスタンスコントロールについて取り組んだ」とのこと。練習日にパッティンググリーンで指導した際、石川サイドからクロスハンドにして同調感を高めることを提案されたそうです。
順手グリップの場合、利き手の感覚で距離感をコントロールしようとします。利き手を使いすぎるとインパクトの強弱で距離をコントロールすることになり、徐々に体と腕の同調性が失われてストロークの再現性が低くなります。石川はそのことに気づき、一定のストロークによって距離感を作るためにクロスハンドにしたのだと思います。
クロスハンドにすることで手や腕を使うことが抑えられ、胸郭を中心とした回転運動を体に覚え込ませることができます。3日目に順手に戻し好結果となったのは、クロスハンドによってストロークが安定し、そこに手の微妙なタッチを加わえることができたことが原因だと思います。
余談ですが、アマチュアの方もクロスハンドで体と腕の同調を高める練習することをお薦めします。うまく打てない場合は手や腕に頼った「手打ちパターストローク」になっている可能性があるため、ストロークチェックのために行うのもいいでしょう。
これからフェデックスカップポイント126位から200位の選手と下部ツアーであるウェブドットコムツアーの上位選手が参戦する、来季出場権をかけたサバイバルゲーム4試合に挑む石川。下部ツアーの賞金ランク25位までの選手を除いた、上位25位に入り来季もPGAツアーで勇姿を見せてくれることを期待したいと思います。
(写真:姉﨑正)