入れ替え戦に挑む石川遼の不安材料は「ティショット」にあり?
いよいよ始まる来季のPGAツアー出場権をかけた入れ替え戦。3度のメジャータイトルを獲得したパドレイグ・ハリントンや、PGAツアーで勝利経験のあるハンター・メイハン、アーロン・バデリー、ファビアン・ゴメスなど有名選手もこの入れ替え戦に名を連ねます。
そして、ウェブドットコムツアーからは勢いのある若手選手たちが下剋上を狙って参戦してきます。来年のPGAツアー出場権を得るには想像以上に過酷なサバイバルゲームを勝ち抜かなければいけません。
「ウェブドットコムツアーファイナルで勝ってやろうという気持ちです」(石川)
フェデックスランキング175位で入れ替え戦に進むこととなった石川遼は2013年の入れ替え戦で13位となり翌年の出場権を獲得した経験を踏まえながら、PGAツアー最終戦のウィンダム選手権で意気込みを語りました。
石川のスウィングは一見キレイなフォームで問題があるように感じないと思います。しかし、石川の今シーズンのショットの貢献度を示す指数(Strokes Gaind:Tee-to-Green)は195人中185位と、ショットが不安材料となっています。
とくにティショットの貢献度を示す指数(Strokes Gaind:Off-the-Tee)が-0.580(※編集部注:平均に対して、約0.5打ティショットでスコアを損している)とドライバーショットの安定感にもっとも問題を抱えています。
ショットの精度に問題があることは本人も自覚しているようで、スウィングの試行錯誤が続いています。2017年初めに取り組んだフェースローテーションを抑えたフェードタイプのスウィングから、シーズン終盤には従来のローテーション多めのドロータイプのスウィングに改良していました。
本来、ツアープロはシーズン中にスウィングを大きく変えることはありません。「ゴルフが上手くなりたい」「スウィングを良くしたい」と常々石川が語っているように、リスクを冒してまでスウィング改善を行うのは、現状の打開と先を見据えた取り組みの両方を考えてのことでしょう。結果がすべての厳しい世界ですが、プロセスを大事にスウィング構築に取り組んでほしいものです。
生き残りのカギはスイングの「調整力」
2016-2017年シーズンの石川の2日目の平均スコア72.25はPGAツアー選手195人中190位です。初日のスコアが71.20で132位なので明らかにパフォーマンスが落ちていることがわかります。このデータから予選通過のプレッシャーがかかった状況で力が発揮できていないことがわかります。
現地でのプレーを見る限り、メンタルの問題というよりもスウィング技術の定着度合いがパフォーマンスに影響していると考えられます。
今年アメリカで石川の試合を5試合観戦しましたが、ハザードや予選通過のプレッシャーがかかる厳しいシチュエーションで微妙なスウィングのズレが見えました。スウィングの定着度が低い段階ではプレッシャーがかかった時に従来のクセが出るため、想定外のミスショットが出てしまいます。
8月のツアー最終戦「ウィンダム選手権」でも練習日はクラブが振り遅れ気味でドローの曲りが強かったのですが、初日のラウンドではスウィングも球筋も修正されるなど日によってスウィングが変わっている状態です。
スウィングのズレに気づき、補正しながら戦うことができればプレッシャーを乗り越え、来季のPGAツアー出場権を獲得できると思います。PGAツアーで通用するセンスとスター性を持つ石川。来季もPGAツアーに出場できることを願わずにはいられません。
ウェブドットコムツアーファイナルズ日程
第1戦 8/31-9/3 ネーションワイド チルドレンズ ホスピタルチャンピオンシップ
第2戦 9/14-9/17 アルバートソンズ ボイジー オープン
第3戦 9/21-9/24 DAPチャンピオンシップ
第4戦 9/28-10/1 ウェブドッココムツアーチャンピオンシップ
(写真:姉﨑正)