7番アイアンのロフトが「26度」あるいはそれ以下という超ストロングロフトの“激飛び系”アイアンが人気だ。プロが試打すると、7番でなんと飛距離200ヤード以上。しかし、「アイアンはそもそも飛ばすクラブではない」とか「かえってゴルフが難しくなるのでは?」という意見も根強い。果たして実際のところはどうなんだろう? 激飛びアイアンを使うことで、スコアは良くなるのか。ゴルファーに幸せをもたらしてくれるのか。考えてみた。

5番よりも7番のほうがロフトが“立っている”!?

日本を代表するアマチュア向けのアイアンといえばダンロップの「ゼクシオ」であることに異論のある人はいないだろう。2000年の発売以来、やさしくて飛距離も出るアイアンは、多くのアマチュアゴルファーに愛されてきた。

さて、その初代ゼクシオの7番アイアンのロフトは何度だっただろうか。「32度」だ。ロフト角とはクラブフェースの傾斜角のことで、アイアンの場合、この数字が小さくなるほど飛距離性能は高くなる(ただし、上がりにくくもなる)。ともかく、21世紀に入る直前、飛び系アイアンのロフトは30度以上あった。

画像: インプレスのUD+2の登場は、アイアンの歴史のターニングポイントになるのだろうか(写真は現行モデル)

インプレスのUD+2の登場は、アイアンの歴史のターニングポイントになるのだろうか(写真は現行モデル)

それから14年。2014年に衝撃のアイアンが登場する。“プラス2番手の飛び”を売り文句に大ヒットとなったヤマハの「インプレスUD+2」がそれで、7番アイアンのロフトはなんと「26度」。一般に、アイアンの番手ごとのロフト差は3〜4度とされるので、ゼクシオと比べると1.5〜2番手ほどロフトが立っている計算になる。激飛び系アイアンの登場だ。

UD+2のすごいところは、7番で26度と非常にロフトが立っているにも関わらず、(一般的なアイアンよりシャフトが長いこともあり)ボールが上がりやすく、非常に打ちやすい点だ。ドライバーのヘッドスピード40m/秒程度の一般的なゴルファーでも、7番で160ヤード、170ヤード、会心の当たりなら180ヤードという世界を味わえる。

ここで、こういう意見が出る。「それは、5番アイアンに7番アイアンっていう刻印をしてあるだけでしょ」というものだ。これは、果たして正しい意見だろうか? プロも使用するヤマハのアイアン「RMX116ツアーモデル」の5番アイアンと「UD+2(2016モデル)」の7番アイアンを比較してみた。

RMX116ツアーモデル(5番):ロフト27度 長さ37.75インチ
UD+2(7番):ロフト26度、長さ37.5インチ

なんと、ロフトの“逆転現象”が起きていた。なんと、UD+2の7番はツアーモデルの5番よりロフトが立っていて、長さはやや短い。スペック面のみを見るならば、「5番を7番と呼んでいるだけ」という主張よりも、現実はさらに先に行ってしまっているといった状況だ(ちなみにツアーモデルの7番のスペックは、ロフト34度、長さ36.75インチ)。

従来の番手と比較するのはもはや意味がなくなっている

この状況を、我々はどう考えればいいのだろうか。最新の飛び系アイアンの試打経験が豊富なプロゴルファー・中村修は、「まず大前提は、UD+2に限らず、プロギアのeggPF、ブリヂストンのツアーB JGR HF1、キャロウェイのエピックスターなど激飛び系アイアンの7番は、従来の5番アイアンと同じものではありません」とし、こう続けた。

画像: 代表的なぶっ飛びアイアン。左からEPICスター、UD+2、ツアーB JGR HF1、egg PF。eggの7番のロフトは“25度”!

代表的なぶっ飛びアイアン。左からEPICスター、UD+2、ツアーB JGR HF1、egg PF。eggの7番のロフトは“25度”!

「激飛び系アイアンの7番は、私が打つとキャリーで200ヤード以上飛びます。従来の5番より明らかに飛ぶんです。しかも上がりやすさ、ミスへの強さは7番アイアンと同じか、もっと下の番手くらいに感じる。つまり、5番より飛んで、7番よりやさしいクラブになっている。3番アイアンと同ロフトのユーティリティに大きな性能差があるのと同じように、これはもう完全に“新種”ととらえるべき。つまり、激飛びアイアンの7番はあくまでぶっ飛びアイアンの7番。従来のモデルと番手の数字だけ比較しても意味があんまりないんです」

しかし、そうだとすると、次なる問題は、“下の番手”だ。7番で26度のUD+2のピッチングウェッジ(PW)のロフトは38度。ツアーモデルのPWのロフトは46度で、なんと8度も違う。スッポリ2番手分の“空き”が生まれてしまっている。これをどう埋めるべきなのか。

「ツアーモデルであっても、PWの次に52度のウェッジを入れるとしたら6度のロフトピッチが生じますよね。アイアンのストロングロフト(ロフトが立つ)傾向により、ウェッジはそもそも4本入れるのが当たり前の時代はすぐそこまで来ています。激飛び系アイアンの場合、4本でも足りません。38度のPWの次は、43度の“AW”を入れ、そこからはたとえば単品ウェッジの47度、52度、56度といったようにセットする、ウェッジ5本体制にするしかないと思います。それか、PW以下、AW、AS(49度)、SW(55度)までをセットで買うかですね。この場合、番手間のロフト差は5〜6度となり、細かい距離の打ち分けがやや難しくなる懸念はあります」(中村)

アイアンとウェッジ合計で7本、もしくは8本のセッティング。そこにパターを加えて、バッグにいれられるウッド類の数は6本、もしくは5本だ。ドライバー1本に3W、5Wを加えても、ユーティリティを2、3本入れることも可能。40度台のウェッジの選択肢がやや少ないという難点は残るが、セッティングは問題なく組める。

「7番が5番より飛ぶ、というのは基本的にはロフトの作用。だからこそ、番手表記の意味ってなんだろう? とか、わかりにくいという意見が出るのは当然だと思います。ただ、飛んでやさしいアイアンの登場は、ゴルファー的には大歓迎するべきこと。“飛びすぎてスコアがまとまらないのでは?”という懸念は……スクラッチプレーヤーレベルでない限り気にしなくてもいいんじゃないかと思います(笑)。いまの激飛び系アイアンは、高弾道だから止まらないこともないし、残り150ヤード以上の距離からは、ピンではなく花道やグリーンセンター狙いになるので、性能を発揮させやすいと思います」(中村)

そうはいっても、プロが使うかといえば、使わない。やはり、数ヤード単位でシビアに縦の距離感をコントロールしたいプロにとっては“難しい”クラブになってしまうのだとか。数ヤードの飛距離コントロールか、十ヤード単位の飛距離のアドバンテージか。プロの場合、優先すべきは前者ということだろう。

画像: 構えたときに見えるソール部分。これを「やさしそう」と感じるか、違和感を覚えるかで激飛び系アイアンの評価は異なる

構えたときに見えるソール部分。これを「やさしそう」と感じるか、違和感を覚えるかで激飛び系アイアンの評価は異なる

最後に、激飛び系アイアンの難点をもうひとつお伝えしなければフェアではないだろう。それは、(多くのモデルで)構えた時、トップブレードの右側からソール部分が見える、という点だ。これ、ゴルフ場では意外と気にならないが、「どうしても苦手」という人も少なくない。このあたり、機能をとるか、形状の美しさをとるかは、ゴルファーの尽きない悩みといえそうだ。

個別のアイアン評はこちらから

今週号の週刊ゴルフダイジェストでは、「『UD+2』『JGR』『egg』激飛びアイアン頂上対決」と題し、人気3モデルの飛距離・弾道を徹底比較。数字には現れない機能面も深堀りしているので、興味のある方は是非チェックしよう。

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