前半「30」の大爆発で混戦を抜け出した
台風18号の影響で2日目のプレーが途中1時間の中断を挟むなど、荒れ模様の展開となった今年のマンシングウェアレディース東海クラシック。最終日の朝は、雨が残ったものの天候はホールを終えるごとに回復。ティショットのランは出ないもののグリーンは止まりやすく、スタート時点で2打差に10人がひしめく混戦を抜け出すには、果敢にピンを攻め、スコアを伸ばさなければ勝てないという空気に満ちていました。
そんな中、トップと2打差の7位タイからスタートした川岸史果選手は1番、2番を無難にパーでまとめると、3番のチップインから8番まで圧巻の6連続バーディ。そのほとんどが2メートル前後のパットを沈めてのバーディと、抜群のショット力を生かしての大爆発でした。
前半を「30」でターンし10番でも6メートルを決めてバーディ。前半とは違って、後半はなかなかバーディが来ない流れの中でしたが、15番でバーディを奪うまでの間、ボギーを叩かず確実にパーを重ねていた姿は非常に落ち着いていて、スウィングの乱れも見られませんでした。
初優勝の選手のサンデーバックナインのプレーとは思えない、今まで何度も優勝争いをしてきた経験が感じられました。
さて、最終日にバーディを奪った8つのホールのショットは、チップインを除いて2打目や3打目ショットの残り距離が68~173Yとマチマチでしたが、そのすべてがピンに絡み、アイアンは抜群にキレていました。雨予報であったため、ピン位置はオーバーしたりピン横からでは難しいパットが残る、傾斜のある高い位置に切ってありました。ピン付近には傾斜がかかるため、ピンの右か左どちらか片側からしかバーディエリアは限られてきます。川岸はそのバーディエリアをことごとくピンポイントで狙って攻めていました。もちろん精度の高い技術に裏付けされてはいますが、伸ばさなければ勝てない展開の中で、ゾーンに入ったような研ぎ澄まされた集中力を発揮していました。バーディ、バーディ、、またバーディと6連続バーディは見ている観客も引き込まれる圧巻の川岸劇場でした。
優勝会見でも答えていましたが、7月下旬から弾道計測器のトラックマンを使い始めた結果、方向と縦の距離を合い、アイアンの精度が向上したということです。
ボール初速の高い男子プロのような弾道で飛ぶドライバーショット、そしてチャンスを逃さないパッティングと、アイアン以外の要素もすべてがかみ合った結果64というビッグスコアにつながりました。終わってみれば8バーディ、ノーボギーの「64」で、2位とは2打差の完璧な優勝でした。
「米女子ツアーのQTを受けると決めてから、その前に優勝したかった」と有言実行した川岸史果。今季トップ10入り9回の実力と今回の優勝で自信をもってQTに臨めるので、来季は米女子ツアーで活躍する姿を見られると思います。
写真/大沢進二
(一部訂正致しました)2017年9月18日22時30分