2016-2017シーズンのPGAツアーは20代が“主役”だった
鮮やかなで爽やかな結末だった。今年7月のグリーンブライヤークラシックで優勝しているものの、世界的には無名に近いツアールーキーのザンダー・シャウフェレが最終日のチャージで逆転優勝を飾ったのだ。
「この場(トップ30のみが出場を許されるツアー選手権)に立てるだけでも光栄なのに、まさか優勝できるとは……」
米サンディエゴ州立大学時代から将来を嘱望される逸材で、同じ93年生まれのスピースやトーマスは当時からのライバル同士。だがスピースが15年にプロデビューした途端トントン拍子に出世しメジャー3勝で押しも押されるトッププロになったのを尻目にシャウフェレは出遅れた。
すると今度はトーマスが今シーズン、ブルドーザーのようにツアーを席巻し全米プロゴルフ選手権を含む5勝を挙げスター街道まっしぐら。
この2人に大きく水を開けられていたが、今季ようやくレギュラーツアーの切符を掴んだシャウフェレは全米オープンでトップ5に入り一躍注目選手となった。さらにグリーンブライヤーで1勝を挙げ今回ツアー選手権という最高の舞台で、ルーキーとしては初の栄冠に輝き「実感が湧かないけどうれしい」と破顔一笑した。
人懐っこい笑顔は観るものを明るくする魅力がある。父はドイツとフランスのハーフで母は日本育ちの台湾人。本人はカリフォルニア生まれだが、さまざまな国の文化に触れながら育ってきた。
そういえばタイガーもタイ人(母・クルチダさん)の血が流れている。またリッキー・ファウラーも祖父は日本人。偏見かもしれないが、アジア系が混ざるとルックス的にもゴルフの技術的にもプラスに作用するケースが多いような気がしてならない。
そして同じ歳のライバルがフェデックスカップのポイントレースで1、2、3フィニッシュしたのだから、この1年で時代が大きく前進したといえるだろう。
ポイントランクの最終順位を見てみると4位に入ったダスティン・ジョンソンと6位のマーク・リーシュマンが33歳で、若い若いと思っていたジャスティン・ローズ(8位)が37歳になっていたのが個人的な驚きだったが、40代は唯一ポール・ケイシー(10位)だけ。
あとはジョン・ラーム(5位)、ファウラー(7位)、松山英樹(8位)、ブルックス・ケプカ(9位)と20代の選手が並び、トップ10入りした20代の勝ち星を合計するとツアー47試合中、3分の1以上の16勝となる。
これまでは世代交代といわれながらベテランの頑張りが大きかったが、今年は正真正銘若手が主役になったといって過言ではない。もちろん松山もそのひとり。来季まずは念願のメジャー獲りに期待したい。
ちなみにシャウフェレは11月ダンロップ・フェニックスに来日予定だとか。伸び盛りの23歳、要チェックだ。